演屋祭

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<第2回演屋祭> 授賞式レポート及び受賞作品講評

ノミネート作品の上映後の協議において、金銀銅賞に加え「特別賞」を設ける運びとなりました。下記に特別賞、金銀銅賞の講評の概要を発表します。

特別賞:『ラの♯に恋をして』(廣田耕平監督)

審査員講評:
ノミネート作品の中でも、最も高い技術を感じる作品だった。スクリーンで観ることで、映像の全体的なクオリティーの高さを改めて感じた。コロナ禍の中で、このような作品を撮影することは大変だったと思う。制作への意欲に敬意を表する。キャスティングや背景映像、演出をもう少し工夫することで、作品の訴求力が高まると思う。廣田監督はそれができる人だと思うので、これからも頑張ってほしい。

銅賞:『お願いだから、唱えてよ』(佐島由昭監督)

プレゼンターは、シアター・エンヤサポーターズ最年長で、シアター・エンヤの前身「唐津シネマの会」活動当初から応援していただいている松金恒雄さんです。挨拶では、映画の素晴らしさ、唐津に映画館が復活したことへの喜びと感謝をお伝えいただきました。

今泉力哉監督講評:
普段自身が作る映画とは真逆のパターンの作品だったが、素直に面白く観ることができた。見始めた時よりも終盤に面白く感じるのは、この作品を信じ切って演じている役者の演技力と細かい演出にあると感じた。女性の設定にもう少しひねりがあると、オリジナリティが高まり良くなると思う。

浅野博貴プロデューサー講評:
類似の設定の作品は他の映画祭などで沢山観てきたが、今作は演技力があり楽しめた。少し舞台のような演技であるようにも感じたが、それは好みによるだろう。今泉監督しかり、例えばエンディングのストーリー設定を変えたりなど、少し工夫をすると、作品の面白みやユニークさが出てくる。

銀賞:『永峰中村飯塚』(桂木友椰監督)

プレゼンターは、シアター・エンヤが入る商業施設「KARAE」を運営するまちづくり会社・ いきいき唐津株式会社 代表の木下修一社長です。挨拶では、これまで多くの方に支援によって映画館やこの映画祭が運営できていることに感謝を述べられ、今回全国から集まった映像作品の素晴らしさや面白さ、映画祭の将来性について高まる期待を話されました。

今泉力哉監督講評:
個人的には、もっとも感動した作品だった。言葉選びにセンスやオリジナリティを感じる。ストーリーを作る際に、起承転結と分かりやすい展開で山をつくりがちだが、この作品は大きな山をつくらずとも「誰も分からないかもしれないけど、自分だけが知っている感情」という独自の共感性を生むことに成功している作品だ。シンプルな言葉で観る人を惹きつける表現や演出ができいた。気になったのは、登場人物の関係性。関係性の設定をもう少し工夫をすると、観る人がより素直にストーリーに入ることができると思う。

浅野博貴プロデューサー講評:
この作品は今泉監督の好みの作品だと思う。今泉監督も日常の延長線上にある風景の描写を得意とする監督だが、この作品も、「日常の生っぽい感覚」を感じる作品だった。一方で、その感覚をもう少し突き詰めて、芝居や演出を手掛けるとで、次のステップに行くことができるような可能性を感じた。このような伸びしろのある作品がノミネートされ受賞ができるのが、この映画祭の意義だと思う。

金賞:『咲の朝』(大西千夏監督)

プレゼンターは、シアター・エンヤの前身である「唐津シネマの会」で会長も務められており、シアター・エンヤを運営する一般社団法人KaratsuFilmProjectの辻幸徳代表理事です。挨拶では、金賞を受賞した『咲の朝』を観て、学生時代を思い出し、みずみずしい気持ちがフラッシュバックしてきたこと、これからも素晴らしい作品を世に出してほしいと受賞者へ激励のメッセージをお伝えになられました。

今泉力哉監督講評:
皆が共感するような大きなテーマではなく、取るに足らないような小さな悩みを丁寧に描いている点に、好感が持てた。冒頭のタイトル出るバックショットや自転車、エンディングなど、いろいろ画としての魅力が随所にあって、細かいところまでつくりこまれた丁寧な映画だと感じた。一方で、主人公にとても頼った作品になっている。例えば、主人公の顔をオフにしていったりすると、もう少し世界が広がるのでは。また、助演女優については観る人によって彼女に共感できるかどうかの意見が分かれると思うが、監督には「主人公が彼女に惹かれる要素がどこにあるのか」を突き詰めていくと、もっと良くなると思う。

浅野博貴プロデューサー講評:
おめでとうございます。日常の大げさなことが起こっていない、淡々とした日常を軽妙に描かれていて爽やかな空気を吸ったような感じがした。作品が進むにつれて登場人物に愛情を持っていく、感情が入りそれが高まっていくのが映画の醍醐味だと思うが、そのような気持ちに自然とさせてくれる映画で、特に助演女優の中村さんが素晴らしいと感じた。彼女のすばらしさがヒロインを盛り立て、この作品を魅力的なものにしたと思う。

甲斐田晴子館長コメント:
映画館スタッフが唯一全員一致して入賞に票を投じた作品だった。今日映画館のスクリーンで観て、その判断に間違いなかったと感じた。大学生でこれが初めての作品で、この次、これからというところに是非期待したい。この映画祭が、原石を見つけるような映画祭になったらいいなという私達の思いと、今回の映画祭のテーマが「変化」に沿った内容であった点も評価に繋がった。1年かけて制作されただけあって、様々な要素が丁寧に紡がれた映画であり、同時に多くの人を魅了していたと思う。

金賞受賞者のコメント
大西千夏監督:
改めて大きいスクリーンで観てみると細かいところに課題を感じ、もっと思い切ったことができるなと感じました。これからまた作品づくりをしていきたいので、今日いただいた意見、講評を基に次のステップに行きたいと思います。初めて唐津に来て、皆さんの映画祭に対する熱量をひしひしと感じました。このような映画祭で上映できて、受賞出来て幸せだなと思います。本当にありがとうございます。

中村葵さん(助監督):
全部の作品が素晴らしくて、「まさか」という気持ちです。私は映像業界に進みませんでしたが、大西監督やスタッフの将来を応援していきます。演屋祭のあたたかい空気の中で上映できて、ありがたく思います。

篠原佑友さん(照明・編集・デザイン・スチル):
賞をいただくのは初めてなので素直に嬉しいです。初めて顔を合わせてから下準備、そして終わりまで丁寧に仕事ができたので、この素晴らしいチームで良い結果を出せて本当に嬉しく思います。デザインの仕事に就いていますが、また楽しいチームで良い映画作りが出来たらいいなと思いました。

最後に、甲斐田映画館長から、映画祭に携わる全ての関係者への御礼とともに、この唐津映画祭「演屋祭」をとおして、全国から映画の可能性を信じる人が唐津に集い、映画文化の素晴らしさを発信しながら、それに携わる皆さんを応援する。そんな映画館や映画祭があることを地域の人が誇りに思い、皆さんとともに末永く映画文化を育てていくことができるような映画祭に成長していきたいと決意表明がありました。

映画祭の後は、入賞者の皆さんと今泉力哉監督、浅野博貴プロデューサー、日頃から映画館をサポートする市民サポーターの皆さんと交流会を開催しました。それぞれの入賞者の皆さんが監督やプロデューサーに作品についての助言や感想を求め、また市民の皆さんとの交流を通して、大変盛況な場となりました。

▼2022年5月31日まで第2回演屋祭クラウドファウンディング募集中▼

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