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<第3回唐津演屋祭 7月23日> 授賞式レポート及び総評

本年のゲスト審査員は大森立嗣監督と、映画プロデューサーの浅野博貴氏に務めていただきました。
また、本年は新たに観客賞を設けました。審査員11名が各作品5点満点で採点・合計点が一番高い作品を観客賞として表彰する形式で執り行いました。

観客賞:『ミヌとりえ』(全辰隆監督)


プレゼンターは、シアターエンヤサポーターズの豊田純士さんです。

全辰隆監督の受賞コメント:
唐津に来るのは初めてですが、雰囲気がすごくいいと感じます。私は日韓合作映画を撮りたい思いが常にあり、唐津というのは歴史的にも朝鮮半島と交易がありますし、実は韓国にも”唐津”と書いて『タンジン』と読む街があったり、何か次の映画のアイデアが浮かぶような気がしています。観客賞をいただいて、唐津が好きになりました。

銅賞:『鳥も死にきれないよ』(山村もみ夫。監督)


プレゼンターは、シアターエンヤを運営する一般社団法人Karatsu Film Projectの代表スポンサー・宮島醤油株式会社の宮島治 代表取締役社長です。
(山村監督ご不在のため、スタッフが代理で受け取りました)

宮島醤油株式会社はブランデッドムービーを制作しており、映画祭当日は『美味しいは幸せの調味料だ~孫編』『美味しいは幸せの調味料だ~祖母編』をそれぞれ上映いたしました。

銀賞:『ミヌとりえ』(全辰隆監督)


プレゼンターは、シアターエンヤが入る商業施設「KARAE」を運営するまちづくり会社・ いきいき唐津株式会社 代表の木下修一社長です。

全辰隆監督の受賞コメント:
観客賞をいただいたので、次はないのかなと思っていました(笑)唐津のことがもっと好きになりました。これは本当にシナリオ書かなきゃいけないな、唐津に恩返ししなくちゃいけないなと思いますので、これからも映像制作頑張っていきます!

金賞:『マニブスの種』(芦原健介監督)


プレゼンターは、シアターエンヤを運営する一般社団法人KaratsuFilmProjectの辻幸徳代表理事です。

芦原健介監督の受賞コメント:
本当にありがとうございます。僕も唐津のことが大好きになりました。また今後もここに来られるように、映画を撮り続けたいなと思います。


浅野博貴プロデューサー総評:
今日一日ありがとうございました。お疲れさまでした。今回はバラエティに富んだ作品が集まっていて、いつもより時間が短く感じました。時代の先を見据えた作品も何本かありましたし、観客にも受け入れられていましたので、これからそういう作品がどんどん増えていけばいいなと思いました。

私は映画監督ではないので、今回はどちらかと言えば観客の目線で観て審査しました。全体を通して感じたことが、時間が短いにもかかわらず音楽を多用しすぎている作品がありました。マイナスに働く面もあるので、あまり音楽に頼らない映画作りをしたほうがいいのかなと感じました。
あとはカメラアングルも気になりました。映画は”引き”と 思い切った”寄り”のバランス・妙技が醍醐味。今回は”寄り”の多用がありましたし、更に被写体をずっとど真ん中に置いている作品がありました。被写体をど真ん中におくと場が狭くなる。左右どちらかに振ってあげると、その空間でモノが言えてもっと意図が伝わるので、工夫をしてほしいと思いました。


大森立嗣監督総評:
浅野さんと同じで、音楽の使い方は気になりました。便利で雰囲気もつくれる反面、芝居の邪魔をしたりします。

スクリーンとは、世界をもう1回構築しなきゃいけないものだと思う。それは自分が世界とどういう風に向き合っているかということを宣言するようなもの。その時に「寄り添っています」ということではなく「他者である」というのが大事だと思う。
金賞の『マニブスの種』、映画のネタとしてはめちゃくちゃ面白い。技術としては下手かもしれないけど、伸びしろを感じます。うまくなくてもいいんだよ。自分が世界とどういう風に向き合っているのかを見せてくれているのがいい。
銀賞の『ミヌとりえ』、一番完成度は高い。大きい問題を扱える映画監督が減っていて、身近な問題を扱う映画が増えていると感じている。全辰隆監督には、大きい問題を撮れる監督になってほしい。
銅賞の『鳥も死にきれないよ』、これすごく好きでした。”動き”に対して自覚的にやっている。動く電車の遊具と、全く動かない鳥の対比。動かない鳥に対してスッと入ってくる花火の煙が落ちてくるところは、濱口竜介監督のような可能性を感じました。直接的なメッセージはないものを撮りながらも、強いメッセージを受けたことが僕は好きでした。

甲斐田晴子シアターエンヤ館長:
(映画祭の)回数を重ねるごとにお客様も増え、映画祭の面白味を体験した方が、是非来年も来てくださるのではないか、そして、映画祭を通して私達が成長出来ていると実感しています。(22年間)映画館のなかったまちで、映画という文化芸術を通して唐津のまちを元気にしよう、という想いで取り組み始め今年で15年目となります。映画館がなかった場所から映画(『花筐/HANAGATAMI』)を作り、映画館を作り、そして映画祭が出来たことは、支えてくださっている地域の皆様や関係者の皆様のおかげです。心から感謝申し上げます。私達の取り組みを、これからも是非応援していただけますと幸いです。この度は「第3回唐津演屋祭」へお越しくださり誠にありがとうございました。

最後に、皆様で記念撮影し、映画祭は幕を閉じました。

映画祭の後は、入賞者の皆さんと大森立嗣監督、浅野博貴プロデューサー、日頃から映画館をサポートする市民サポーターの皆さんと交流会を開催しました。作品についての助言や感想を求め、また市民の皆さんとの交流を通して、大変盛況な場となりました。

大森立嗣監督、浅野博貴プロデューサーありがとうございました!

映画祭が無事に終了しましたのも、ご来場いただいた皆様、クリエイター・ゲスト・関係者の皆様、クラウドファンディングへご支援された皆様、地元スポンサーの皆様、そして、市民サークルの皆様のおかげです。誠にありがとうございました。
来年もより良い映画祭にすべく、スタッフ一応頑張ります!引き続き、応援をよろしくお願いいたします。