石村和徳と有希子は結婚し、3年後に生まれた嘉成は、2人にとって待望の子宝だった。しかし、1歳6か月の頃から嘉成の様子に異変が起こる。それまでは「まんま」や「わんわん」といった簡単な発語をし、呼びかけると笑顔も見せていたのに、それ以降、目も合わず、コミュニケーションがとれなくなってしまった。2歳で自閉症と診断され、ところかまわず暴れたり、泣きわめいたり、言葉もしゃべれない嘉成の将来を心配した有希子は、何とか活路を見いだそうと、さまざまな病院や施設を訪ね回る。だが、どこに行っても精神論で諭すアドバイスばかりだった。そんな1996年のある日、独自の理論で自閉症の子どもとその親を導く療育者・河島センター長と “運命の出会い”を果たす。「人の指示を聞けることが、社会性の第一歩。ヨシくんは、話せないから泣き声で意思表示や要求をしているだけ。ちゃんとヨシくんと向き合って、“知識ある愛”をもって教育しましょう」という言葉を聞き、有希子は信じて、ついてゆく決心をする。

愛媛県新居浜市在住の画家・石村嘉成（いしむらよしなり）さん。本作は、2歳で自閉症と診断された嘉成さんが、家族や周囲の支援のもと自立に向けた厳しい療育（※）に向き合い、画家として才能を開花させた実話を、ドキュメンタリーとドラマを融合させて描く物語である。
※療育とは、障がいを持つ子どもが社会的に自立して生活できるよう、それぞれの状態に応じた支援をおこないながら発達を促すことである。

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