わたしたちについて
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22年ぶりに復活した唐津の映画館「THEATER ENYA」映画の可能性を信じ、私達が描く未来のまちの姿
一般社団法人Karatsu Culture Commissionは、まちづくり会社いきいき唐津株式会社が立ち上げた「唐津シネマの会」が前身で、唐津に実に22年ぶりとなる映画館「THEATER ENYA」を復活させました。日々の映画館の運営を主に、監督を招いてのトークイベントや映画祭の開催などの活動をしています。
「THEATER ENYA」は、国際交流基金の企画「INDEPENDENT CINEMA2023」にて、日本の映画館10館に選出されドキュメンタリー動画「THEATER ENYA MINI THEATER JOURNY」が世界に配信されていますので、ぜひご覧下さい。
THEATER ENYA誕生の背景
現在日本の地方からは、映画館の姿が無くなりつつあります。その理由は、人口が減りまた娯楽が多様化する中で、映画館の観客が少なくなり、経営が成り立たなくなっているからです。唐津も例に漏れず、1997年に最後の映画館「東宝大劇」が閉館して以来、映画館のない町となっていました。そんな中で、まちづくり会社のいきいき唐津が実施したアンケート調査では、商店街に欲しい機能や施設として「映画館、カフェ、本屋」という市民の声が挙がっていました
そこで、何とか市民のニーズに応え、まちの活性化のために映画館を復活させたいという想いで、「唐津シネマの会」という定期的な映画の上映会を行う市民団体を2011年に発足させました。
持続可能な活動のために、従来の映画館のビジネスモデルにとらわれず、鑑賞収入だけでなく、会員制の法人スポンサー制度を取り入れました。それから8年の年月を経て、商店街の再開発事業で建築された「KARAE」の中に、念願だった映画館を、唐津で22年ぶりに開館させることができました。現在は、佐賀県のNPOふるさと納税支援で日本中から支援を募ることができ、おかげで地域課題を解決する様々な取り組みを実現することができています。
私たちが困難な挑戦に挑み続けることができるのは、「こんな時代だからこそ、地方にとって、文化のインフラストラクチャーとなる映画館が必要である」という信念を強く持っているからです。
地方にとって映画館は、文化のインフラストラクチャー
映画は、よく「総合芸術」と言われます。それは映画が、脚本、映像、演技、衣装、メイク、美術、装飾、照明、音楽、録音、編集・・・など、様々な技術やアートの集大成だからです。それぞれの要素の成熟度が高く素晴らしいとき、その物語は説得力を持ち、ありとあらゆる芸術がたどり着く「普遍的な美しさ、真実」を人々に訴えかけ、深い感動をもたらします。それは時を超え、国境を超え、文化を超え、人々の心を震わせます。
一方で、映画は総合芸術の側面を持ちながら、老若男女が楽しめる、敷居の低いエンターテインメントでもあります。カジュアルな装いで、誰でも気軽に立ち寄ることができるのが映画館です。
人口が減少し、少子高齢化が進む町からは文化、伝統や娯楽が徐々に姿を消していきます。そんな中、映画館という存在は、その町で暮らす人にとって、毎日好きな時に文化芸術、娯楽を楽しむことができる「文化のインフラストラクチャー」となり、人々が多様な価値や文化に触れ、「豊かに生きる」を支える存在となると、私達は信じています。
文化教育の場としての映画館
人口減少や少子高齢化が進む地方、特に大学などの高等機関がない地方では、文化芸術の担い手不足により、若者がそれらを学び享受する機会は減少していきます。映画は、皆が楽しめるエンターテインメントに加え、総合芸術やいろんな文化や価値観、視点を学ぶことができる文化体験な要素も有しています。映画館は、そのような機会を若者に提供できる場になります。
THEATER ENYAでは、文化体験の機会としての映画の鑑賞を、一人でも多くの若者が楽しめるよう、年会費5,000円で映画を見放題の学生サブスクリプション制度をつくりました。経済的な理由に左右されることなく、より多くの若い人達が、映画館で豊かな映像体験ができるよう思いを込めています。
予防福祉の役割を果たす映画館
日本は、世界トップの長寿国です。一方で、独居老人や孤独死なども増えています。今後、人口の大半を占める高齢者が、「いかに孤独ではなく健康で幸福に過ごすことができるか」という課題は、日本全体が持つ共通した課題です。
THEATER ENYAの一番多いお客様は、中高年の皆様です。お友達と一緒に来られることも多く、「映画がきっかけで疎遠になっていたお友達と遊びに出かけるようになった」とおっしゃる方や、映画が好きで毎日1人で映画に来られる方もいらっしゃいます。
映画館という存在が、外出したり、友達に会ったり、社会との繋がりを持ったりなど、心身ともに健康に過ごす事に繋がる予防福祉的な役割を担っていると、10年の活動を通して確かな手ごたえを感じています。
映画館を通した地域活性化を実現する
映画館は、映画鑑賞のための飲み物を買う、映画鑑賞前後にランチやカフェを楽しむ、帰りについでに買い物する、など消費活動が伴いやすい娯楽です。
そこで、映画館の経済効果が商店街全体に広がるよう、私達は地元の商店街の皆さんと一緒に「シアターエンヤクーポン協力店」の取り組みを行っています。このサービスでは、映画の鑑賞後3日間、クーポン協力店のお店で、様々な特典を受けることができます。商店街ならではの多彩な特典で、鑑賞後クーポンが利用できる期間は3日間と長くいので、再来街も促され映画館をハブとした商店街の面的な賑わいづくりを創出しています。
映画祭を通した人材育成と文化の発信
2021年からは、佐賀県LiveS Beyondの支援により実現した映画祭「唐津演屋祭」がスタートしました。全国からショートフィルムを募集するアワードで、クリエイターの人材育成を応援しながら、唐津の地方創生に取り組んでいます。
映画祭を通して改めて感じることは、映画館は、普段は地域の人達のための文化のインフラストラクチャーですが、映画祭となると、全国に私たちの存在を発信することとなり、また商業映画では触れることが出来ない多彩な作品を目にすることで地域の人々の成長の場にもなり、全国から人が訪れ、また訪れた人々により地域が発信され、その結果、地域の活性化にとても繋がっているということです。
現在映画祭は、「クラウドファウンディング」と地元スポンサーによって、持続可能な映画祭として実現しています。地方から映画文化を発信していけるような映画祭になるよう、これからも頑張っていきたいと思います。
終わりに
私たちが描く未来は、映画館がまちに存在することで、365日誰もが多様な価値と文化を持った良質な娯楽を楽しみ、若者が豊かな文化体験を享受でき、高齢者が孤独ではなく暮らすまちの姿です。そして、映画祭などを通して、素晴らしい映画を届けてくれるクリエイター支援を行い、唐津が情熱と才能溢れる芸術家やクリエイターが集うまちになっていくことです。
このビジョンが実現できるように、これからも様々な挑戦を続け、日本に勇気を届けたいと思っています。ご賛同いただく皆さま、下記より応援どうぞよろしくお願いします!