強い日差しが注ぎ込む夏の海。ビーチが似合わない男が、陰のある女に出会い、ただ時を過ごす――。脚本家の李は行き詰まりを感じ、旅に出る。冬、李は雪の重みで今にも落ちてしまいそうなおんぼろ宿でものぐさな宿主、べん造と出会う。暖房もなく、布団も自分で敷く始末。ある夜、べん造は李を夜の雪の原へと連れ出すのだった……。

第78回ロカルノ国際映画祭金豹賞《グランプリ》＆ヤング審査員賞特別賞W受賞！世界が熱い視線を注ぎ、シアター・エンヤ主催「唐津国際映画祭2025／KIFF2025」でアンバサダーを務めてくださった三宅唱監督最新作。同映画祭にご参加された松浦慎一郎さんもご出演。

恋愛や友情、仕事の同僚でもない、名のない関係性の登場人物たち。人と人、その背景にある時間と空気までをも丁寧にすくい取る。これまでの作品同様に、三宅唱監督はかすかなきっかけで心が回復していく様を描き出す。旅先での小さな出会いが、ほんのちょっと、それでも確かに人生を変えることがある。誰しもの人生に寄り添うようなあたたかく優しい視線が観る者の心をそっと包み込む、目にも耳にも鮮やかな傑作が誕生した。

©2025『旅と日々』製作委員会