『ロストサマー』舞台挨拶レポート！！

平素よりシアター・エンヤをご愛顧いただき誠にありがとうございます。

1月27日（土）・28日（日）に実施しました『ロストサマー』舞台挨拶のレポートです！
麻美（あみ）監督・椿弓里奈さん・関口アナンさんにご登壇いただきました。

▼作品紹介『ロストサマー』
舞台は四国、高知県。
女性たちのもとを転々としながら、その日暮らしをする⻘年・フユ。⻑年連れ添った妻に先立たれひとり生きる老人・秋。そして、忙しすぎる夫との生活に虚しさを抱えながら過ごす女・春。
地方の街で暮らす、季節の名前をもつ孤独な３人の男女が偶然に出会い、不器用に関わり合っていく中で自らの喪失感と向き合っていく。

『ロストサマー』は映像製作チーム「889FILM(ハチハチキューフィルム)」による初の長編映画です。
まずは「889FILM」について、麻美監督にお聞きました。
「俳優の中澤梓佐さんが30歳になったときに『仕事を待ってるだけではなく、自分たちで何かやりたいよね』と、同世代に声をかけて集まったのがはじまり。1988年・1989年生まれのメンバーだったので、『889FILM』という名前にしました。メンバーは当初6人だったが、それぞれのライフステージが変わる時期ということもあり、現在は中澤梓佐・麻美・椿弓里奈・関口アナンの4名のチームです」とお話しいただきました。

今回の長編映画制作に至った経緯について麻美監督は、
「初めはYouTubeの短い映像作品を撮っていて、そこで制作の楽しさに気づいた。今回はAFF（=ARTS for the future!）の助成金もあって、10代の頃から書き溜めていたものを脚本にして長編映画にした」と振り返りました。

本作でフユ役を演じたのは、独特な存在感が印象的な林裕太さん。キャスティングについて椿さんにお聞きしました。
「林裕太さんは、映画『草の響き』（=2021年・斎藤久志監督作品/シアターエンヤでも上映）で金髪の高校生の役で、強く印象に残っていた。今作の麻美監督の脚本を読んだときに、脚本の中の金髪の男性と、林さんのイメージが重なった。889FILMのみんなで『草の響き』を観て、オファーを出すことを決めた」と振り返りました。

秋役を演じたのは、80歳の名優・小林勝也さん。小林さんのキャスティングについて関口さんにお聞きしました。
「小林勝也さんは舞台で共演していた。秋役にピッタリだと思っていたが、レジェンドのような存在ということもありダメ元でオファーしたら即返事してくれた」と振り返りました。

初の監督作品に懸けた思いを、麻美監督にお聞きました。
「もともと10代の頃に書き溜めていたノートには、その時の孤独や虚しさが書かれていた。『889FILM』のメンバーと出会って、“人をもっと頼ったら道が拓けるんだ”“人間をもっと信じていいんだ”と思えるようになり、今回のような希望を持てる脚本に変化していった」とお話しいただきました。
関口さんも「麻美監督が描きたいものを、チームのみんなでつくる意識だった」と語られました。

シアターエンヤの甲斐田館長は「初監督でここまでの作品が作れるのはすごい」と感想を述べ、映画撮影の技術について質問したところ、麻美監督は「技術的なところは学んでおらず、素晴らしいスタッフの皆さまに助けられた」とのこと。
甲斐田館長は「監督として撮りたいビジョンがはっきりしているから、そのゴールに向かってブレずに映画を撮ることが出来ているのではないか」と分析していました。

お客様との質疑応答ではカメラワークについての質問や、「秋役・小林勝也さんの衣装がカッコよくて、着こなしが参考になった」との声が挙がりました。

方言で何と言っているか分からないシーンがあったとの感想では、
「感情を表に出すシーンでは、あえて強めの土佐弁のセリフにした。『何言ってるか分からない』と色々なところで言われるが、ニュアンスが伝わればいいと思う」と話されました。

最後に麻美監督から
「素晴らしいスタッフ・キャストに恵まれ、こうして全国を廻らせてもらって、この一瞬一瞬を目に焼き付けて、今を生きていこうと思っています。お客様には好きに映画を楽しんでもらって、映画館に来ていただけると、私たちも好きに映画を作れるので、これからも映画館に足を運んでほしいです。今日この作品を観ることを選んでくれて、ありがとうございました。」とメッセージをいただきました。

舞台挨拶後、パンフレットご購入の方にサインをいただきました。

映画『ロストサマー』は、シアターエンヤの前身<唐津シネマの会>から活動を応援してくださっている映画プロデューサーの浅野博貴さんからの推薦があり、今回上映することになりました。そして、シアターエンヤ3周年イベントでお越しいただいた廣木隆一監督、菜葉菜さんも『889FILM』を応援しています。
映画が繋いだご縁を感じる『ロストサマー』はシアターエンヤでは2/1（木）までの上映です。

麻美監督・椿弓里奈さん・関口アナンさん、そしてご来場のお客様、ご参加いただき誠にありがとうございました。