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<第3回唐津演屋祭 7月23日>2日目ノミネート作品上映レポート

<第3回唐津演屋祭>2日目は、2部に分かれて全国のクリエイターの皆さまからご応募頂きました158作品の中から、ノミネート作品として選出された9作品を上映し、観客賞・金銀銅賞の発表を行いました。
受賞結果はこちら

本年のゲスト審査員は大森立嗣監督と、映画プロデューサーの浅野博貴氏に務めていただきました。

大森監督「9本の映画を観て、皆様の思いを受け止めて、厳正に審査したいと思います」
浅野プロデューサー「何度も唐津に来ていますが、今年も楽しみにしていました。最後まで皆様と一緒に楽しみたいと思います」とお二人からご挨拶いただきました。

また、本年は新たに観客賞を設けました。審査員11名が各作品5点満点で採点・合計点が一番高い作品を観客賞として表彰する形式で執り行いました。

 

ノミネート作品 A Program上映

A Programは10時スタートで、『徒歩1分のコス』『しずく』 『鳥も死にきれないよ』『回復タイム』『ミヌとりえ』を上映しました。

・『徒歩1分のコス』(田中亮丞監督)

ストーリー:奥手の女性が一目惚れしたコンビニの男性店員に声をかけてもらうために、せっせと深夜に通うが何も進展がない。友人のアドバイスでコスプレをしてコンビニに行くが……

映画本編の前には、田中亮丞監督からいただいたビデオメッセージを上映。
「冴えないヒロインが、どんどん進化していく様をお楽しみください」とコメントをいただきました。

・『しずく』(相馬雄太監督)

ストーリー:うつ病の母親と二人暮らしの春奈は家事や看病を担うヤングケアラー。 「大丈夫」が口ぐせですべて一人で抱え込み、誰にも頼らず生きてきた。 同じダンススクールに通う涼斗はそんな春奈の姿を見て自分の気持ちを伝える。


上映後には、母親役の吉村志保さんにご登壇いただきました。吉村さんは、唐津ショートフィルム特集上映『50の贈り物』と2日続けてのご登壇となりました。
「”ヤングケアラー”という言葉をここ最近耳にすることが多くなり、こうしてヤングケアラーの実情がわかる映画に出演できてよかった」とお話いただきました。

・『鳥も死にきれないよ』(山村 もみ夫。監督)

ストーリー:日下美紀の働く喫茶店は、青梅駅前にあるビルに入っている。ある日、美紀がビルの屋上で煙草を吸っていると、同僚である小林が看板に描かれた鳥と会話をしている…。青梅駅前地区市街地再開発前夜。

本編上映後に、プロデューサーの橋龍さん、山村もみ夫。監督からのビデオメッセージを上映しました。

再開発が進む青梅の風景も動画になっており、さながら映画のエピローグのようでした。

・『回復タイム』(山口智誠監督)

ストーリー:会社員の飯田早苗は、仕事が上手くいっていない様子。仕事が手につかず会社から少し離れた公園で母親と電話をしていると、傷だらけのおじさん辰巳エンジが今にも倒れそうな感じでやってきて・・・


上映後には、山口智誠監督にご登壇いただきました。
今作が初監督作品という山口監督は「三十代半ば、仕事に悩んでいる同世代の方々へのエールのつもりで制作した」と語られました。

・『ミヌとりえ』(全辰隆 (チョン・ジニュン)監督)

ストーリー:祖父が残した手紙を携え、韓国の群山という町にやって来た日本人のりえ。韓国人の青年ミヌの助けを借りながら、手紙の受取人を探そうとする。そしてりえは日本統治時代の群山に暮らしていた祖父の秘密を知る。


上映後には、全辰隆監督にご登壇いただきました。
監督は秋田出身の在日韓国人3世で、今作は大学院の卒業制作作品。「2020年頃に日韓関係が悪くなり、そのままコロナ禍になって、『このまま交流がなくなったらマズいことになる』と思った。どうすればいいかわからないけど、お互いのことを考えて想像し合うことが大事だと思い制作した」と語りました。

 

ノミネート作品 B Program上映

B Programは13時スタートで、『NEO PORTRAITS』『おぼえてる』『マニブスの種』『赤い私と、青い君』を上映しました。

・『NEO PORTRAITS』(GAZEBO監督)

ストーリー:日本の田舎の、すこし未来の話。3ヶ月前に母を亡くした中学2年生のタクミは、 母の記憶から作られた対話できる遺影(電子アンドロイド)を まるで故人そのもののように扱う大人たちに不信感を抱いていた。


上映後には、GAZEBO監督・父役の菅野貴夫さんにご登壇いただきました。
GAZEBO監督は唐津演屋祭3度目のご来場です。「NTTさんとショートショートフィルムフェスティバルの企画として制作した。『テクノロジーを映画で描くと”ディストピア”になりがちだけど、そうじゃない未来もあるのではないか』という投げかけをしたかった」と制作の経緯をお話しいただきました。
菅野さんは「初めて観客の前で上映して、お客様の反応が楽しかった」と語られました。

・『おぼえてる』(海老澤憲一監督)

ストーリー:認知症デイサービスを利用する井上愛子。愛子は、娘の結婚式当日もいつも通り介護施設で過ごしていた。しかし面会に来ていた小さな女の子を見て、何かを思い出した愛子は、突然施設を飛び出して行ってしまう。


上映後には、海老澤憲一監督にご登壇いただきました。(THEATER ENYAのTシャツご着用ありがとうございます!)
八王子Short Film映画祭でプロットが採用され、今作は制作されました。
「認知症の患者増加のニュースを見て、認知症のことを勉強していく中で、”記憶”のことが興味深かったので、それを本に起こしてみた。」とお話しいただきました。

・『マニブスの種』(芦原健介監督)

ストーリー:ある日、ポストに届いた差出人不明の封筒。開けてみるとそこには植物の種が入っていた。その種を育ててみると、まるで“人間の手”のようなものが生えてきたのだった。


上映後には、芦原健介監督・主演の菅野貴夫さん・カメラの西村洋介さんにご登壇いただきました。
中国から謎の種が送られてくるニュースから着想を得て制作した今作。 芦原監督は「歩きスマホしてる人間はイヤだけど、相手がマニブスだと思えば愛おしく思える」とお話しいただきました。 菅野さんは「『何で育てちゃうの?』と思いながらも楽しく演じられた」と振り返り、西村さんは「色々なところでこの映画を上映しているが、一番反応が良かったと思う。ありがとうございます」とお話しいただきました。

・『赤い私と、青い君』(高橋広吏監督)

ストーリー:脱サラ小説家・トウヤと、就職活動中の大学生・ナツミは、かつて同じサークルの先輩と後輩だった。ある日、担当編集者から呼び出されたトウヤは、あることを告げられる。

上映後には、高橋広吏監督にご登壇いただきました。
これまでアクションに携わったりスタントマンをしていた高橋監督は「ケガが多くてアクションをやめてしまった。背中をそっと押してくれるような作品を撮りたかった」と思いを語ってくれました。

以上で全ての上映が終わり、観客賞の集計・金銀銅賞の審査を経て、授賞式へと移ります。