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2026.02.24(火)
『架空の犬と嘘をつく猫』舞台挨拶レポート!
2月23日(月・祝)に開催した、オール佐賀ロケ映画『架空の犬と嘘をつく猫』の舞台挨拶レポートをお届けします。
唐津出身の作家・寺地はるな先生と、本作のメガホンをとった森ガキ侑大監督を迎え、急遽「補助席」を出すほどの超満員となった今回の舞台挨拶。シアターエンヤ史上、最高潮の熱気に包まれるなか、寺地先生と森ガキ監督の記念すべき「初対談」が実現しました。
▼『架空の犬と噓をつく猫』作品紹介
1988年、佐賀県のある街。弟を亡くした小学三年生の羽猫山吹は、現実を受け入れられない母のために“弟になりすました手紙”を書き続ける。崩壊した家族の中で成長した山吹は、初恋のかな子や幼馴染の頼との出会いを経て、嘘に覆われた過去と向き合っていく。やがて大人になり、失踪した姉・紅や母との再会を果たす中で、家族の愛と痛み、そして自らの生き方を見つめ直す。祖母の葬儀の日。母、紅、父――バラバラに生きてきた人々が顔を合わせる。そこへ、雨に濡れ、泣きながら現れるかな子。そんなかな子を前に、山吹がとった行動は――。積み重なった噓は、愛の裏返し。それに気づいたときに見えてくるのは、近づきすぎず、離れすぎず、それでも確かに結ばれている家族のかたち――。 それでもときに「家族をやめたい」と願ってしまう、その思いの先にあるものを、この映画はそっと見つめている。
世界15大映画祭のひとつ、タリン・ブラックナイト映画祭コンペティション部門選出され、撮影賞を受賞!
唐津が繋いだ「三つの縁」が結実した日
森ガキ監督は、「唐津で撮影し、唐津で上映し、そして原作者の先生と対談する。この『3点セット』が実現できるなんて夢にも思っていませんでした。この三つが揃って初めて、この映画が本当の意味で完成した気がします」。監督のその言葉に、会場からは温かい拍手が送られました。
映画を観た寺地さんは、「風景がこんなに綺麗だったんだと感動した。映像を通すことで、自分が住んでいた時には見えなかった魅力を見せてもらえた」と、監督が切り取った佐賀の美しさを絶賛。
森ガキ監督も、「寺地先生の原作があったからこそ、この『映画らしい映画』が撮れた。先生の小説を読みながら紡いでいく感覚が、スタッフ一同とても心地よかった」と、原作への深い敬意をあらわにしました。
また、初対談ならではの、驚きと笑いに満ちたエピソードも披露されました。
監督たちは「絶対にここをイメージして書いたはず!」とメルヘン村で盛り上がったものの、寺地先生は「実は行ったことがなくて…」と告白。意外な事実が判明し、会場が沸く一幕も。主演の高杉真宙さんについて、寺地先生は「仮面ライダー鎧武の時から見ていました。最高に『弟感』がある。選んだ人は天才!」と絶賛。監督も、高杉さんの誠実な人柄が役柄に不可欠だったと語りました。
家族という「逃げられない、でも逃げてもいい」場所
Q&Aコーナーでは、観客から寄せられた「母親像」や「家族」という深いテーマについても議論が交わされました。「母親が背負わされすぎているものを一度否定したかった。しんどい時の逃がし方を知っている人は強い。」寺地先生は現代の「母親像」が抱える危うさについて、静かに、しかし力強く語られました。「逃げることは決して悪いことではありません。映画を見たり、小説を読んだり、心の中に自分だけの避難所を持っている人の方が、実はしんどい時にしなやかに、たくましく生きていける。そう信じています」その言葉に、会場では深く頷く観客の姿が多く見られました。
「家族は逃げられない空間。だからこそ、甲羅を背負ってでも人生に立ち向かう姿を、最後のバスのシーンに込めた。」あの独特の配置には、家族という逃げられない絆を抱えながら、それでも前を向いて進んでいく決意を込めたと監督は語りました。寺地先生の「救い」と、監督の「覚悟」。二人の思いがスクリーンの中で溶け合い、唯一無二の家族像が完成したことが伝わる瞬間でした。
初対談ならではの秘話や、佐賀出身のはなわさんのカメオ出演、そして主演・高杉真宙さんの「天才的な弟感」に話が咲いたあっという間の1時間。最後は監督の「配信の時代だからこそ、映画館で思い出にしてほしい」という熱い願いに、会場は鳴り止まない拍手で包まれました。
寺地はるな先生、森ガキ侑大監督、ご来館のお客様、ご参加いただきありがとうございました。
