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2022.11.16(水)
「マン・レイの自由な手~巖谷國士による講演+映画と写真の会~ 」開催レポート
平素よりシアター・エンヤをご愛顧いただき誠にありがとうございます。
11月13日(日)に実施しましたイベント「マン・レイの自由な手~巖谷國士による講演+映画と写真の会~」のレポートです。
当日は二部構成となり、第一部は巖谷國士先生の著書『マン・レイと女性たち』のスライドショーと、マン・レイが手がけた短篇映画を上映し、巖谷先生にご講演いただきました。
第二部は、巖谷先生の生徒であり、これまで数々の食空間を演出してきた料理家・大塚瞳さんプロデュースの「たまとり」と「KARAE」の中庭を会場に、唐津の豊かな食材で作られた料理をいただき、巖谷先生を囲む会を開催しました。
◆巖谷國士(いわや・くにお)先生プロフィール
1943年生まれ。東京大学文学部仏文科卒・同大学院修了。明治学院大学名誉教授。学生時代に瀧口修造や澁澤龍彦と出会い、シュルレアリスムの研究と実践をつづける。文学・美術・映画などの批評のほか、紀行、写真個展、展覧会監修などで幅広く活動。主著に『シュルレアリスムとは何か』『森と芸術』『旅と芸術』『映画 幻想の季節』『澁澤龍彦論コレクション』全5巻ほか多数。ブルトン『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』『ナジャ』などの訳書でも知られる。近著に、神奈川県立近代美術館で開催中の展覧会のための『マン・レイと女性たち』。
▼第一部「マン・レイと自由な手」
巖谷先生が監修と脚本を手がけ、劇団唐組の名優・久保井研さんと藤井由紀さんがナレーションを担当した『マン・レイと女性たち』スライドショーを上映し、マン・レイが制作した短篇映画『Le retour à la raison 理性への回帰(2分)』と『Emak Bakia エマク・バキア(20分)』を上映しました。
巖谷國士先生は『マン・レイと自由な手』という題について、「マン・レイが考える『自由』というのは、何をやってもいい状態ではなく、”生まれたときから人間に存在する制約や社会的な拘束・不自由な状態を脱却するための行動”を指す。そしてマン・レイは”手仕事から出発するのがアートの本質”だとは考えている。そのマン・レイの考え方に沿って題を付けた」と語っていただきました。
巖谷先生はマン・レイが制作した短篇映画について、「たったひとりで作った映像。マン・レイは”アートはひとりでやるものだ”という考え方を持っていた」と話されました。
マン・レイが制作し、映画として世に発表したのは4作品と言われています。巖谷先生は「実験的と言われたりするが、これで完成形である。無声映画の時代に映画というものは完成していたが、トーキーがはじまって言葉が入ってくることによって、映画は別の方向へ進んでしまった。映画が産業になり、手仕事でなくなったときにマン・レイは映画制作から離れた」とお教えいただきました。
短篇映画を鑑賞したお客様からは「宇宙にいるような不思議な感覚。」といった声や、「時間や場所を忘れて『無』になれた」といった感想が挙がっていました。
巖谷先生からは「唐津に何年も映画館がない状況から、こうして映画館を作った。これも不自由な状態を脱却するための行動で、マン・レイの考える『自由』だ」とメッセージをいただきました。
▼第二部「巖谷國士先生を囲む会」
巖谷先生の生徒であり、これまで数々の食空間を演出してきた料理家・大塚瞳さんプロデュースの「たまとり」と「KARAE」とのコラボレーションイベント。
「たまとり」の店内とKARAEの中庭で唐津の豊かな食材で作られた料理をいただきました。
第一部・第二部で49名のお客様にお越しいただきました。
映画の上映とはまた違う、このような文化芸術イベントの機会をいただき、大変ありがたく存じます。
巖谷國士先生、今回のイベントの開催にご協力いただいた皆様、そしてご来場のお客様、ご参加いただき誠にありがとうございました。
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