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2022.11.23(水)
シアター・エンヤ3周年記念特集上映 開催レポート
平素よりシアター・エンヤをご愛顧いただき誠にありがとうございます。
11月20日(日)に実施しましたシアター・エンヤ3周年記念特集上映のレポートです。
『ノイズ』『海まで何マイル』『夕方のおともだち』の上映と、
廣木隆一監督、女優の菜葉菜さん、映画プロデューサーの浅野博貴氏をお迎えし、ティーチインを実施いたしました。
【ゲストプロフィール】
廣木隆一監督
1954年生まれ、福島県出身。1982年映画監督デビュー。1994年サンダンス・インスティテュートの奨学金を獲得して渡米。2003年の『ヴァイブレータ』では、第25回ヨコハマ映画祭を始め、国内外40以上の映画祭で監督賞ほか数々の賞を獲得する。恋愛映画の名手、エロティシズムのマエストロと称されている。主な作品に『余命一ヶ月の花嫁』(09)、『軽蔑』、『きいろいゾウ』(13)、『ストロボ・エッジ』、『さよなら歌舞伎町』(15)、『夏美のホタル』(16)、『PとJK』、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、『彼女の人生は間違いじゃない』(17)などがある。公開待機作は『あちらにいる鬼』『母性』『月の満ち欠け』。また、2021年4月にはNetflixオリジナル配信ドラマ「彼女」で新しい世界に踏み出した、日本の映画界を代表する監督の一人である。
菜葉菜/女優
東京都出身。2005年映画『YUMENO』で主演し本格的に女優デビュー。以後、『孤高のメス』(10)、『64-ロクヨン-』(16)、『百合子ダスヴイダーニヤ』(11)、『ラストレシピ~麒麟の下の記憶~』(17)、『後妻業の女』(16)『モルエラニの霧の中』(21)、『ホテルアイリス』(22)などがある。など多数の話題映画に出演。2012年には『どんづまり便器』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭最優秀主演女優賞を、近作では主演作品『赤い雪』(19)で第14回Los Angeles Japan Film Festival 最優秀俳優賞を獲得した。公開待機作は『TOCKA タスカー』『ワタシの中の彼女』。
浅野博貴/映画プロデューサー
1949年生まれ。芸能プロダクションおよび映画の配給も行うT-artist(ティー・アーティスト)の代表。映画プロデューサーとして、『モルエラニの霧の中』『赤い雪 Red Snow』『菊とギロチン』『64 ロクヨン 前後編』『夕方のおともだち』『ホテルアイリス』など、数多くの作品を手掛ける。公開待機作は『TOCKA タスカー』『ワタシの中の彼女』。
▼10:20~『ノイズ』上映&ティーチイン
日本のトップに立つ演技派俳優たちによる極限の新感覚サスペンス『ノイズ』上映後、廣木隆一監督・菜葉菜さんによるティーチインが行われました。
廣木監督とプロデューサーとの会話の中で、「次はサスペンスを撮ってみたい」という一言から『ノイズ』の企画はははじまりました。
以前一度だけサスペンスを撮ったが全然面白くならなかったということで、サスペンスから離れていましたが、挑戦という気持ちで臨んだ作品だったと語ってくれました。
菜葉菜さんは廣木組の常連で、今作では横田昭一(酒向芳)の妻/横田庄吉(柄本明)の義理の娘の洋子を演じました。「実際にそこに住んでいるかのようだった」という声が多く挙がりました。
廣木組初参加の永瀬正敏さんから、「廣木監督ってどんな人?」とすごく質問されたそうです。
菜葉菜さんは廣木監督について、「役者を第一に考える監督で、役者が一番仕事がしやすい環境づくりをしてくれる監督。『まず、やってみて』と自由にやらせてくれるので緊張感があるが、演技が自然になるまで待ってくれて、役者としてはありがたいです」と語ってくれました。
お客様との質疑応答では、「黒いちじく農家も唐津にいるし、何より雰囲気が唐津によく似ている」という声が挙がりました。廣木監督と菜葉菜さんも唐津までの移動中に同じことを感じたそうです。
そうしたらなんと『ノイズ』ロケ地に唐津が立候補していたという驚愕の事実が…!
『ノイズ』と唐津の意外な共通点で盛り上がり、ティーチインは終了しました。
▼14:00~『海まで何マイル』上映 / 『夕方のおともだち』上映&ティーチイン
2011年の東日本大震災後、これからの未来をどう生きていくかを描いた青春短編映画『海まで何マイル』。
そしてSMの女王様とドM男が繰り広げる、崇高で郷愁漂う男と女の不思議な愛のカタチのヒューマンラブストーリー『夕方のおともだち』を上映し、廣木隆一監督・菜葉菜さん・浅野プロデューサーによるティーチインが行われました。
『海まで何マイル』は沖縄国際映画祭「地域発信型映画」の47都道府県ラストを飾る山形県の作品として制作されました。
福島県出身の廣木監督は「自分が知っている景色が震災で何もなくなって、その何もないところが整地されていく。最初から何もなかったかのように上塗りされていくのが嫌だった。震災の記憶を留めようという気持ちで撮影した」と語ってくれました。
主演の菜葉菜さんは「出演者同士が本当に仲が良くて、あのメンバーならではの作品になった」と当時を振り返って語ってくれました。
『夕方のおともだち』は鬼才漫画家・山本直樹の漫画を映画化した作品。企画から7年経っての公開となりました。
この企画について浅野プロデューサーは「男の郷愁がにじみ出ている原作が良く、エロティシズム以前に人間ドラマとして映像化したい思いが廣木監督と合致した。7年かかったが監督・出演者の思いがあって実現できた」と語ってくれました。
廣木監督は山本直樹さんの漫画について「エロティシズムとか、人間の小ささとか、世間のしがらみとか、その日常から半歩上の世界を描いている。それを映像化するのは難しいが、なんとかドラマで表現できないかなと思っている」と評されました。
女王様ミホ役を演じた菜葉菜さんは「廣木監督の『ヴァイブレータ』を観て、役者の目標として廣木組のヒロインをやりたいと思っていた。また原作を読んでこういった大人の作品に出たいと思っていた」と今作にかける熱い思いを語ってくれました。
お客様との質疑応答では、劇中に出てくるM男ヨシオの母についての質問が集中。
核心をつく質問もあり拍手が上がるなど、大いに盛り上がりました。
最後に浅野プロデューサーから「全国のミニシアターは厳しい状況の中知恵を出してなんとかやっている。作り手の心を受け止めてもらう場所がミニシアターなので、一緒に支え合っていきたい。また遠くないうちに監督や役者を連れてきたいと思う」とメッセージをいただきました。
廣木監督は「皆さんの顔が見えるところで感想が直接聞けてよかった。またここに呼んでもらえるように頑張ろうと思えた」と語ってくれました。
舞台挨拶終了後には、サイン会・記念撮影。のべ125名のお客様にご来場いただきました。
廣木隆一監督は『あちらにいる鬼』『母性』『月の満ち欠け』公開が続いてお忙しい中、シアターエンヤまでお越しいただきました。
菜葉菜さんは、シアターエンヤ2周年企画『モルエラニの霧の中』『雪子さんの足音』『赤い雪』にご出演されていたこともあり、今回待望のご来館となりました。
浅野博貴プロデューサーはシアターエンヤができる前の「唐津シネマの会」から応援していただいており、演屋祭以来約半年ぶりにお越しいただきました。
廣木監督、菜葉菜さん、浅野プロデューサー、そしてご来場のお客様、ご参加いただき誠にありがとうございました。