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2024.10.27(日)
『パドレ・プロジェクト ~父の影を追って~』舞台挨拶レポート!
平素よりシアター・エンヤをご愛顧いただき誠にありがとうございます。
10月27日(日)に実施しました『パドレ・プロジェクト ~父の影を追って~』舞台挨拶のレポートです。
当日は、武内剛監督にご登壇いただきました。
▼『パドレ・プロジェクト ~父の影を追って~』作品紹介
日本人とアフリカ人の間に生まれ、日本で生まれ育った武内剛は2歳のときに父と生き別れになった。「若い頃は映画監督を目指していた」という母の話から浮かび上がるのはクリエイター気質の父の姿。その影を追うように、エンターテインメントの世界で活動していたが、2020年に予期しない契機が訪れる。「COVID-19」それは命を落とす可能性もある正体不明のウイルスの世界的なパンデミックだった。もしかすると、もう二度と父親に会えないかもしれない――そう思った剛は父を探すためにイタリアへ旅立つことを決意。さらには、その記録を映画にすることに。しかし緊急事態宣言の只中、渡航のハードルは高く、認知症の母から聞き出せる父の情報は驚くほど少ない。手元にあるのは40年前の父の写真だけ。10日間という限られた滞在期間、イタリアの人口・約130万人の中から会ったこともない一人の肉親を探し出すのは予想以上の困難を極めた。日本で“ハーフ”として育った自分自身の過去にも向き合いながら、異国の地で必死に捜索を続ける剛だったが、ある日ついに父親の手がかりを掴んで……。
「おかえりなさい!」「ただいま!」という挨拶から始まった舞台挨拶。実は、武内監督は初監督作品である本作で、当館の運営会社である一般社団法人Karatsu Culture Commission主催で唐津初の国際映画祭「唐津ライジングサン国際映画祭」(2023年)でゴールデンサン賞を受賞し、今回は満を持しての凱旋上映となります!
「(アメリカの)アカデミー賞か、唐津ライジングサン国際映画祭かというくらい規模の大きい映画祭で、ちょうど1年前に同じ映画館で上映させていただきました。賞を頂いたことをきっかけに、今年の8月から全国ロードショーが決まり、まずは東京や関西で上映し、満を持して佐賀県唐津に戻ってきました。」
今回の舞台挨拶では、国際映画祭でボランティアをされていた方のお姿も見受けられ、「日本人の監督だけではなく、各国から関係者が来られ、お昼は映画の上映、夜は居酒屋でおもてなしを受け、本当にホスピタリティが素晴らしい映画祭でした。他にも、生け花体験、お抹茶体験、お寺での着付け体験など、全部参加し楽しかったです。」と当時の思い出を話されました。
▼唐津ライジングサン国際映画祭での授賞式の模様
本作では、武内監督はプロデューサーも兼ねていらっしゃいます。「元々お笑い芸人として活動し、芸能事務所に所属していましたが、2020年のコロナ禍で一気に仕事がなくなり、そのことがきっかけで(今までの自分を)変えなくちゃだめだ!という思いで事務所を辞めて独立しました。次に何をやろうか、となった時に、ふと2歳で生き別れた父親のことを思い出しました。それまでは(自分の中で)蓋をしてきた部分がありましたが、ヨーロッパでたくさんの人達が亡くなっているニュースを見て、急に命の重みをリアルに感じ、そしたら(イタリアにいる父親に)会いたい、と思いました。そこからは猪突猛進に突き進みました。」「映画を作ろう、というより、父親に会いたい、とういパッションから始まっていて、当初はYouTubeでのシリーズとして動画を投稿しようと思っていましたが、母から父親が若い時に映画監督を目指していた、と聞いたので、父親の意思を継ぐではないですけど、映画にしてみよう、と思い今回映画という表現方法を選びました。」と製作のきっかけについて語られました。
制作資金をクラウドファンディングで集めた話では、「映画制作にいくらかかるか分からず、50万くらいかな、いや100万かな、と試行錯誤し、1回目のクラウドファンディングでは100万円を超える支援を頂きました。ただ、映画が100万円で作れるわけがない、と思い知りました。撮影が海外でしたし、スタッフ達への支払いもありましたのでクラウドファンディングでの支援金もすぐに消えました。その後、僕のポケットマネーも使いつつ、今年の2月に2回目のクラウドファンディングを実施し、そこでは1回目を超える260万円のご支援を頂き、その後の劇場公開に繋がりました。」と当時を振り返られました。
コロナ禍での渡航について「海外へ行くことへの賛否両論はありましたが、2022年に渡航制限が緩和されたことを受けて飛び立ちました。今思えば、ベストなタイミングで行けたなと思います。まさに運命に突き動かされた感じですね。」と語られました。また、渡航後のイタリアでの撮影期間は10日という短さでした。「撮影が始まって4,5日は進展も手掛かりも何もなくて、撮影監督からプレッシャーをかけられました(笑)。僕の両親は籍を入れていないので、(公的な)書類もなく、父親の誕生日も分からない状況の中、SNS等で情報提供を呼びかけました。」といった苦労や、「(撮影を通じて)通訳の方やイタリアで出会った皆さんが本当にいい人で、助けられました。」とイタリアでできた縁に感謝されていました。
ご自身のルーツや、日本でハーフとして育ったことについて、「これまで色んなモヤモヤを抱えていましたが、撮影を通して解消されました。今年の7月に(父親の出身地)カメルーンに行きましたが、今まで日本では自分の見た目で様々な経験をしてきましたが、カメルーンでは全員黒人でしたので、それも新鮮で、自分の原点やルーツを感じ、自分の中にあったパズルのピースがピタッとはまった気がしました。」と撮影を通した感想を述べられました。
お客様からの「本作で一つの出発点ができ、ルーツを確認されたと思いますが、この後はどういう人生を歩まれる予定ですか?」という質問に対して、「自分は本当に恵まれていると思います。こういう映画をやります、と発信すると、疎遠になっていた親や親せきに会いに行こうとしたけど会えなかった、とか(会いに行ったけど)拒否された、といった反応がありました。自分もそういうリスクがあると思いつつ、これは天命だと思い本作を製作しました。今後は、家族や親子関係に悩みを抱えている人に伝えるような活動をしたいと思っています。」と本作を通して感じたことを話されました。そして、「あとは、また映画を作りたいと思っています。今度は別のテーマで。僕はドキュメンタリーの方が向いていると思いますし、もう(スクリーンに)自分の顔が映っているのは観なくていいかな(笑)。」と次回作についても触れられました。
最後に武内監督から「こういう作品は大作と違い、皆さんの口コミが重要となってきますので、もし作品を気に入っていただけたらご友人など薦めていただけると嬉しいです。」とメッセージを頂きました。
『パドレ・プロジェクト ~父の影を追って~』は、10月31日(木)まで上映しています。
スケジュールはコチラ
武内剛監督、ご来場のお客様、ご参加いただき誠にありがとうございました。
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