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2026.08.01(土)
映画『マダム・ソワ・セヴェンヌ』トークイベントレポート
8月1日(土)に開催しました、映画『マダム・ソワ・セヴェンヌ』トークイベントのレポートです!
当日は、佐藤広一監督、細尾真生プロデューサー、制作・配給を担当した川﨑仁美さんに加え、佐賀県が誇る重要無形文化財「木版摺更紗(もくはんずりさらさ)」の保持者で人間国宝の鈴田滋人さん、滋人さんのご子息であり同じく木版摺更紗の職人である鈴田清人さんにご登壇いただきました。
▼『マダム・ソワ・セヴェンヌ』作品紹介
マリー・アントワネットが愛したとされる伝説の絹<セヴェンヌ>の復活に迫るドキュメンタリー映画。日仏の職人や研究者を3年かけて取材し、世界最高品質の日本の養蚕技術の現在地と匠の手仕事を紐解いていくドキュメンタリーです。
消えゆく技術への危機感と、映像の力で作る未来
京都・西陣織の老舗「細尾」の11代目当主である細尾真生プロデューサーは「100年前の日本は農家の4割が絹に関わる『絹王国』でしたが、現在、全国の養蚕農家は130軒を切り、高齢化が進んでいる」、と、日本の伝統産業に対する強い危機感をお伝えになりました。「日本が誇る匠の技術と美しさを失いたくない。映像の力で手仕事の魅力を伝え、絹や工芸に関わる人を増やして『未来』を作りたい」その思いが、本作のプロデューサーを務めるということに繋がったそうです。細尾さんの言葉からは、日本の伝統工芸への敬意と継承への切実な思いが伝わってきました。
職人が語る素材の奥深さと、裏方への眼差し
本作にも出演している、人間国宝・鈴田滋人先生は、実際に復活したセヴェンヌ絹を扱った職人のひとりです。鈴田さんは「浸透力が違う」とその品質を評価しつつも、現代の生地とは性質が異なり「手作業を通してやってみないとわからない」と素材の奥深さを説明します。
また、糸や生地、型紙など、工芸作品の背景には多くの裏方が関わっていることに触れ、「作品が表に出ても、その材料や道具を作る職人の名前はなかなか表に出せない映画のエンドロールのように、裏を支える職人の存在が広く知られていくことも必要では」と作品の背景にある職人らへの思いを語りました。
同世代の生産者と分かち合う、工芸の素材への思い
鈴田滋人さんのご子息で、ご自身も木版摺更紗の職人である清人さんも舞台に立たれました。本作を通じて、自分が表現を施す「白生地」自体に、養蚕家や桑を育てる人々の膨大な歴史があることを実感したという清人さん。
「最近、同年代の養蚕農家の方と『自分が育てた繭で作品にしてもらった』『あなたの生地があったから作れた』とお互いに語り合うことができたことがとても嬉しかった。これからもこうした背景を大切にしながら制作していきたい」と語る清人さんの言葉からは、生産者と思いを分かち合いながら工芸に向き合う、次世代の頼もしい姿がうかがえました。
さらに、佐藤広一監督からは、本作のナレーションを歌舞伎役者・坂東玉三郎さんが快諾されたエピソードも紹介されました。舞台衣装を通して日常的に絹に触れている玉三郎さんもまた、本作の意義に共感して参加されたそうです。
今回、エンヤ館長の甲斐田も含め、地元の呉服屋さん「池田屋呉服店」の声かけで、多くの方が着物を着て映画の上映会にご参画いただきました。中には、鈴田滋人さんの帯を締めて来場された地元の方の姿が。その方からは、「こんなに多くの人の手と工程を経て作られたものを身につけられることに、深いありがたみを感じました」という感想が述べられ、作り手と使い手の想いが直接交わる豊かな時間となりました。
映画を通じて、地域に息づく文化や手仕事の価値を改めて共有する貴重な機会となった本イベント。 鈴田滋人さん、鈴田清人さん、佐藤広一監督、細尾真生プロデューサー、川﨑仁美さん、そしてご来館いただいたお客様、誠にありがとうございました。
