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2026.10.12(月)

イベント

映画『軍服を着た神様』舞台挨拶レポート

10月12日(月・祝)に開催しました『軍服を着た神様』の舞台挨拶レポートです!
当日は、本作のメガホンをとった遠藤協(えんどう かのう)監督にご登壇いただき、台湾のユニークな死生観や、本作にゆかりのある唐津でのエピソードなど、興味深いお話をたっぷりとうかがいました。
3連休ということもあり、会場は多くのお客様で熱気に包まれました。

▼『軍服を着た神様』作品紹介
かつて日本が統治した台湾に存在する、軍服を着た日本人の神様たち。祟りを恐れて祀られた亡霊は、いかにして人々の願いを叶える神となったのか。その謎を追い、台湾の民間信仰や日本が残した戦争の痕跡、日本と台湾の交流を描くドキュメンタリー。

台湾をめぐる旅のはじまり
本作のプロデューサーでもある文化人類学者の藤野陽平さんとは、大学時代の先輩後輩という間柄だという遠藤監督。
もともと文化人類学に興味があったものの、最初に「台湾で日本人が神様になっている」と聞いた時は「なんじゃそれ」と驚いたそうです。「でも、とにかく行ってみようと。行ってみると、すぐハマったんですよ」と、次々と起こる不思議な体験に惹きつけられ、台湾各地をめぐる旅が始まったきっかけを語ってくださいました。

台湾のユニークな死生観「鬼(クイ)」
話題の中心となったのは、台湾のユニークな死生観です。台湾では、あの世で暮らす死者は自分で生活の糧を得られないため、生きている人間が捧げ物を送らなければなりません。子孫がいれば供養してもらえますが、若くして亡くなるなどして祀り手のいない霊魂は、「鬼(クイ)」という存在になってしまいます。鬼は捧げ物を得るため、この世に向けて「俺はここにいるぞ」と怪奇現象や祟りなどのシグナルを送るのだそうです。そうした身寄りのない鬼を地域の人々が慰め、祀り続けることで、やがて人々の願いを叶える「神様」になっていくのだと言います。 

では、なぜそれが「日本人」だったのか。会場からの質問に対し、監督は「50年間にわたる日本統治時代が終わり、日本人が引き揚げた後、台湾には亡くなった日本人の霊魂だけが残されてしまいました。身寄りのなくなった魂たちを、台湾の人々が親切心で手厚く慰め、供養した結果なんです」と解説。「国と国の歴史には複雑な背景があっても、人と神様が“身近な相談相手”として付き合うことで、歴史を超越してしまうところがある」と、そのおおらかで温かい信仰のあり方を紐解いてくださいました。

唐津から台湾へ、海を渡った塔婆
実は本作は、シアターエンヤが位置するここ唐津でもロケが行われています。フィリピンで戦死した樋口勝見さんの供養のため、弟の盛雄さんが唐津の海に流した塔婆が、2年の歳月を経て台湾の小さな漁村に流れ着き、神様として祀られるまでのエピソードが劇中で紹介されています。

この日はなんと、樋口勝見さんの甥にあたる樋口邦久さんが会場にお越しくださり、舞台に登壇されました。「顔も知らない叔父が、台湾で神様になっているなんて不思議ですが、生きているうちに一度台湾へ行って手を合わせたいです」と語る邦久さん。遠藤監督も「勝見さんは漁師の家系なので、ご存命なら漁師になっていたはず。そして、台湾で塔婆を拾って祀ってくれたのも現地の漁師さんでした。自分と同じ海に生きる人たちの元へ、ご縁があって流れ着いたのだと思います」と、国境を越えた数奇な繋がりに思いを馳せていました。

神様からの推薦コメント!?充実のパンフレット
最後には、本作のパンフレットの紹介も。
「なんと田中将軍(神様)から推薦コメントをいただいているんです。前代未聞ですよね(笑)」と、神様からの推薦文が掲載されているという驚きの裏話を披露され、会場は大きな笑いに包まれました。

映画を通じて、異国の不可思議で魅力的な空気に会場が包まれた本イベント。
遠藤協監督、樋口邦久さん、そしてご来館いただいたお客様、ご参加いただきありがとうございました。

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