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2025.09.14(日)

イベント

『骨なし灯籠』舞台挨拶レポート!

9月13日(土)に開催した熊本県山鹿市舞台の映画『骨なし灯籠』の舞台挨拶レポートです。当日は、木庭撫子監督、木庭民夫プロデューサーをお招きし、撮影秘話を伺いました。

▼『骨なし灯籠』作品紹介 
妻を亡くして深い喪失感を抱いた男の再生を描いたドラマ。
亡き妻の骨壺を抱え、死に場所を探し、彷徨う男がいた。古き時代の佇まいを残す、熊本豊前街道の温泉町「山鹿(やまが)」で、男は祭りのポスターに描かれた「灯籠娘」に、妻・ゆかりの面影を見る。元・美術教師の男・市井祐介(49)は、灯籠師見習い・直樹(30)に誘われるまま働き始めるが、一年が経ち、妻の三回忌を迎えても、深い喪失と孤独は拭えない。町を出ようと決めた、祭りの日。突然、ゆかりの双子の妹だという、あかりが現れる。
「あなたにお願いがあって」
千人灯籠を踊るために、スペインからやってきたというあかり。彼女の目的とは―――。
和紙と糊だけで作られた山鹿の伝統工芸品である「山鹿灯籠」(別名:骨なし灯籠)の世界に出合った男が、山鹿の人々や自然との触れ合いを通じて、徐々に癒やされていく姿を描く。

移住と映画制作のきっかけ

木庭監督
私たちは両親の相次ぐ死を機に東京から離れ、「もう東京にいる理由はないね」と夫婦で話し合い、(木庭プロデューサーの地元)熊本県山鹿市の古民家に移住しました。最初は映画を作るつもりなど全くなく、蕎麦打ちや寺子屋のような活動を考えていたくらいです。
しかし、コロナ禍で東京のプロデューサーから「助成金があるから企画を出してみないか」と声をかけてもらい、映画制作が動き出しました。私は元々脚本家なので脚本だけのつもりで始めましたが、結果的に監督もすることになり、本作が初監督作となりました。低予算で、撮影期間はわずか2週間。東京や熊本市内からスタッフを呼ぶのも大変で、まさに手作りの現場でした。撮影後は編集機材を買って、一から学びながら自分で編集しました。クラウドファンディングにも挑戦し、たくさんの方の応援で何とか完成にこぎつけました。結果的に、やってみると“自分が描いた脚本を自分で形にできる”喜びを実感できました。

― 山鹿灯籠まつりと撮影の裏側

木庭監督
撮影は2022年8月。ちょうどコロナが落ち着きかけて、山鹿の伝統的なお祭りである山鹿灯籠まつりも数年ぶりに開催すると聞き準備を進めていました。ところが直前になって中止に。灯籠まつりは物語のクライマックスを飾る予定でしたので、脚本は大幅に変更を余儀なくされましたが、結果的に華やかな祭りを見せるより、「余韻の残る物語」になったと思っています。
※「山鹿灯籠まつり」とは、8月15日・16日に開催される熊本県山鹿市、山鹿温泉にある大宮神社の祭りのこと。

映画の舞台となった場所は、私たちが普段歩いている道や近所のお店ばかり。嘘をつかず、すべて実際の場所や距離感を忠実に描いています。観客の方から「映画の後にロケ地を訪れて本当に同じだった」と喜ばれるのが嬉しいです。

―映像と音楽へのこだわり

木庭監督
撮影カメラマンはとても信頼している、WOWOWでミニドラマを作ったときのカメラマン、照明アドバイザーには元NHKの照明チーフ(朝ドラも大河ドラマも手掛けた方)が定年直後で駆けつけて下さいました。音楽は熊本出身の志娥慶香さん。アメリカのバークリー音楽大学・映画音楽作曲学科を首席で卒業された方で、本作に美しい響きを与えてくださいました。
※志娥さんは2023年『あの子の夢を水に流して』で当館の舞台挨拶に参加されました。

出演した地元の子どもたちも本当に素晴らしく、私が道を歩いているだけで「こんにちは!」と声をかけてくれるような、ピュアで明るい子たちです。そのまっすぐさを映画にも反映しました。

―制作する上で心がけたことは

木庭監督
私は「大嘘はついてもいいけれど、小さな嘘はつくな」という倉本聰先生の教えを大事にしています。だからこそ、この映画でもリアリティを徹底的に重視しました。“大きな嘘”は物語として成立するならいいと思うんです。でも、“小さな構造的な嘘”は絶対につかない。だから衣装や小道具も徹底してリアルに準備しました。観客に違和感を与えないことが、物語に引き込む一番の近道だと信じています。


―観客へのメッセージ

木庭監督
失った人を想いながら生きること。その悲しみや喪失感をどう受け止めるか――この作品は、そうした問いを観客の皆さんに投げかけるものになったのではないかと思います。大切な人を失った経験がある方に、きっと何かを届けられる映画だと思います。『骨出し灯籠』が少しでも心を癒す時間になれば嬉しいです。
木庭プロデューサー
映画は普通なら上映が終われば終わりですが、この作品は熊本で5ヶ月のロングラン上映があり、神戸や名古屋、東京などでも多くの方に観ていただき、その輪が広がってきました。今回唐津で皆さんに出会えたことで、新しいイメージも膨らみました。これからも上映を続けていきたいので、ご家族や友人にも広めていただき、応援してもらえると励みになります。

当日は、当館の活動を応援してくださっているサポーター他や常連のお客様はもちろん、福岡から今回が3回目というリピーターの方もご来場され、上映後のサイン会は大盛り上がりでした!

『骨なし灯籠』は9月18日(木)まで上映中です。また、ロビーには灯籠を展示中ですので、映画と一緒にご覧ください。
木庭監督、木庭プロデューサー、ご来場のお客様、ご参加いただきありがとうございました。

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