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2025.08.02(土)

イベント

『わたのまち、応答セヨ』舞台挨拶レポート!

8月2日(土)に開催したドキュメンタリー映画『わたのまち、応答セヨ』の舞台挨拶レポートです。当日は、企画・プロデュースを手掛けた土屋敏男プロデューサーをお迎えしました。

▼『わたのまち、応答セヨ』作品紹介
「繊維の街に光を当ててほしい」という依頼を受け、三河・蒲郡市を訪れた映画監督は、往時の賑わいを失った街の現実に途方に暮れる。かつては織機の音が鳴り響き、綿織物で栄えたが、今は構造的な課題と人々の諦めムードが漂っていた。映画制作に苦戦する中、綿を種から育てる80歳の職人と出会い、物語が動き出す。職人の姿が人々の情熱を呼び起こし、街を揺さぶっていく。やがて舞台はロンドンへと展開し、日本のモノ作りの魂が世界に響く奇跡をもたらす。監督・岩間玄とテレビ界のレジェンド・土屋敏男が挑む、予定調和を打ち破る再生と復活のドキュメンタリー。語りは「唐津国際映画祭2025」でスペシャルゲストとして参加した岸井ゆきのが務める。これは単なる産業映画ではなく、作り手自身も巻き込んだ熱き挑戦の記録である。

バラエティ番組からドキュメンタリー映画の道へ進まれたことについて、「頼まれると何でもするので(笑)、これもご縁があるのかなと思いました。ゼロから考えて、それまで作られたことのないような映画ができればいいなと思いました。観ていただくと分かりますが、僕が今まで携わってきた『電波少年』も人間のすごさを表現したいと思い手掛けていましたが、今回も、人間の強さやすごさを表現したいという想いが、僕と岩間監督の中にありました。」と経緯をお話しされました。

また、映画を製作するにあたり蒲郡市からは「一切の口出しをしない、チェックをしない、という条件で作らせていただきました。」との発言も飛び出しました。「(映画が)完成するまで一切観せていませんし、途中経過の報告もしていません。ただ、そうすると追い込まれるのが岩間監督でした。『本当はこうしたかったけど、こういう理由でできなかった』という言い訳ができず、撮影を半年間続けても手ごたえが全く感じられない日々が続いたそうです。その中で、わたを種から育て紡ぐ80歳の職人・鈴木敏泰さんや繊維商社森菊の石川雅祥さんたちと出会い、本気でぶつかることで本気の方は本気で応えてくれ、心を許してくれたようです。その本気の関わり合いの中で、もともと活動していた人たちも心を動かされ、『自分にとっての”三河木綿”とは何か』を考えるようになり、ロンドンへ一緒に行くことに繋がりました。そして最後に”奇跡”が起こりました。」と感慨深く話され、「自分たちが一生懸命やってきたことが”わたの神様”が認めてくれて、『お前たちがやってきたことは間違ってないんだよ』と言ってくれている気がしました。人が本気で取り組めば、奇跡は起きる、という想いが強くなりました。」と語り、「この経験は、自身の作品づくりの筋や核になっている」とも話されました。
ラストの”奇跡”は是非スクリーンでご確認ください!


岩間監督とは日本テレビ時代から一緒でしたが、バラエティの土屋プロデューサーとドキュメンタリーの岩間監督のお2人は畑違いだったこともあり、今回が初めてがっつりお仕事されたとのことです。土屋プロデューサーと岩間監督の共通点として「人間を描く」ことではとの話に及ぶと、「2人とも変わってますよね(笑)。でも、モノづくりの狂気みたいなもの、狂気に近い執着がこれから世界に通用するのではないか、と思います。よく、”よそ者”、”若者”、”バカ者”と言いますが、”バカ者”が大事だと思います。よそ者が火をつけて、バカ者が反応して、若者が見つけられて、最終的には若者が引き継いでいく、と思っています。(本作は)世界中の人に観てもらいたいですが、最終的には蒲郡の子ども達に観てもらいたいと思っています。子ども達に観てもらい、自分たちのまちを好きになってもらい、それが蒲郡の財産になると思います。映画にはその力があると思います。」と想いを語られました。

また、タイトルにある『応答セヨ』の部分に関して「皆さん『応答しないとね』と言ってくださってることが嬉しいですね。『応答セヨ』と付けたのは岩間監督で、鈴木さんと会ったぐらいから相談されました。当初はピンときませんでしたが、今思うと作りて岩間監督の魂の叫びだったと思います。」とタイトル秘話も聞けました。

蒲郡市民が映画を観たときの話に及ぶと「思っていた映画と違うようでした。1200年前の歴史など、結構皆さんご存じないこともあったようです。」「(映画をきっかけに)蒲郡の企業の中で、もう一度”三河木綿”をやろう、というミーティングが始まったと聞きます。」といった未来に繋がっているお話も聞けました。

唐津市と蒲郡市の共通点として、規模感やボートレースがある、そして唐津には唐津焼という伝統文化があることについて司会の甲斐田館長から触れられました。本作と同じように、そこに暮らしている人たちが、自分たちの伝統工芸にどれだけ価値のあり世界的に評価されているか、誇りに思えているかが大きな課題であり、同時に海外の人たちは見る目があるのではないかと。「ロンドンは歴史があるまちなので、物語込みで『これはいいね』という話になります。石川さんが三河木綿をロンドンに持って行ったときに、三河木綿は労働着として着用し、ボロボロになったら継ぎ、もっとボロボロになったら雑巾になり、最後は土に返すんだ、という物語を語ります。それがサスティナブルでロンドンの人たちが求めているもので素晴らしい、という話になりました。ミラノでもニューヨークでもなくロンドンに行きついたという偶然も良かったと思います。」

また、甲斐田館長から少子高齢化が進んでいる地方都市において、男性社会であるなか本作では若い女性が闊達に議論している姿が印象的だった話の際には、「日本でも世界でも女性が元気な気がします。今まで我慢させられていた分、自分たちの出番だという力を感じます。僕は女性をピックアップしたつもりはありませんが、結果として女性中心になりましたね。」まちづくりの場合はまだ男性が多いという話に対し、「モノづくりは一人でする作業が多く、他の人と一緒では意味がない、私しか作れないものを作る、という感覚が女性的かもしれませんね。男性はスケールやビジネスサイズなど開拓していく精神なんでしょうね。」との発言も。また、劇中の鈴木さん夫妻の姿についても、「妻は前に出すぎずとも、深く夫の精神を理解し、寄り添い、支えている。そして最終的には、彼の行動が彼女の手の中で動いているようにすら感じられる。」そんな美しい夫婦の在り方が描かれていました。

お客様との質問タイムでは、今回土屋プロデューサーと岩間監督を蒲郡市に繋いだ、ひまわりネットワーク株式会社の堀井社長がサプライズ登場され、ご自身が着用された三河木綿のシャツや名刺入れをPRされました。また、本作を上映するきっかけをくださった地元のケーブルテレビ局であるぴ~ぷる放送の中村社長や社員の皆さん、伊万里ケーブルテレビの大鋸社長もご参加され、モノづくりに共感した、感動したといった感想を述べられました。更に、先日開催された「唐津国際映画祭2025/KIFF2025」に参加され、本作で語りを務められている岸井ゆきのさんの声が素晴らしい、とのお話にもなりました。

わたのまち、応答セヨ』は、8月7日(木)まで上映していますので、唐津焼という伝統工芸が息づく唐津の皆さんに是非ご覧いただきたいと思います。
スケジュールはコチラ

土屋プロデューサー、本作と当館を繋いでくださったぴ~ぷる放送様、ご来場のお客様、ご参加いただき誠にありがとうございました。

 

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