今年で創業140年となる、唐津でも最も歴史のある企業の一つである宮島醤油。その代表取締役社長である宮島治さんに、会社についてお話を伺いました。まずは、貴社の沿革と経営理念を教えて下さい。

当社は、明治15年(1882年)に唐津市水主町（かこまち）で醤油の醸造所として創業し、今年で140年となります。元々は石炭の輸送をしていましたが、石炭産業自体がリスクの大きい事業だということで、経営的に安定性のある醤油や味噌の事業を始めました。その後、発酵の技術を基盤に、社会のニーズに応えた様々な食品を開発し、今に繋がっています。

現在、社員は約714名（正社員、パート含め）、工場は唐津市内に2ヶ所、栃木県宇都宮市に1ヶ所あり、本社工場では事業の原点でもある醤油や味噌などを生産し、一番大きい妙見工場では開発力を活かしながら新しい食のニーズに対応しています。また宇都宮工場ではご当地商品でもある餃子を活用した商品も生産し、地域の味を全国へと発信する拠点としての役割を果たしています。

当社の社是は「去華就実（きょかしゅうじつ）」です。この言葉は、「外面的な華やかさを捨て、実質あることに専念せよ」という意味で、全社員が大切にしています。
経営理念は２つあります。ひとつは「技術立社」というもので、「新技術の開発と技術の高度化を常に経営課題とし、その実現に取り組む」という意味です。生産や開発技術、管理技術を養い、幅広い技術を身に着けることを心がけ、社業の中心に据えています。

もうひとつは「食文化に貢献する気概」です。日本と世界の食文化に貢献し、伝統を大切にしながら新しい事への挑戦を恐れない「宮島にしかできない」、「宮島だからできる」とお客様から評価される商品を生み出していきたいと思っています。軸になる精神は守りつつ、時代に応じた改革は進めていく姿勢を大切にしていますね。

貴社が製造している食品はどのようなものがあるのでしょうか？

本社工場での醤油や味噌の製造のほか、当社では「地産地工」を掲げ、佐賀県産の優れた食材を活用した商品開発を行い、地域とともに歩むことを目指し、様々な食品を生産しています。

活動分野としては、自社ブランド商品のほかに、外食産業（レストランやホテル）向けの業務用商品の製造や、OEM（Original Equipment Manufacturing＝相手先ブランドの生産）という形態で他社の製品を受託生産しています。又、お客様が求める味を当社で開発するプライベートブランドも生産しています。プライベートブランドを入れると、商品数は約3,000種類に上ります。様々なものを生産するなかで、開発や生産の技術が充実し、その実績から、また更に当社に任せてもらえる商品の幅が広がってきました。

そして、現在、特に力を入れて取り組んでいる商品として「減塩シリーズ」があります。健康志向が高まり、高齢化社会で血圧をコントロールされている方も多いので、長く愛される商品開発を手掛けたいと考えています。

貴社が取り組まれている地域貢献活動を教えてください。

2011年から年2回のペースで「虹の松原 再生・保全活動」に取り組み、社員やその家族も参加し活動しています。また、食育事業として小学校や中学校から依頼を受けて出前授業を実施しています。佐賀県内の小学校では3年生になると大豆を育てる授業があり、大豆の収穫時期になると2・3ヶ月に1回のペースで、収穫した大豆を使って醤油や味噌を作る授業を行っています。出前授業には、「日本醤油技術センター」の「しょうゆもの知り博士」に認定された当社の社員が各地の小学校へ赴き、醤油のことはもちろん、日本の食文化について授業を行います。味噌作りという当社独自の取り組みで、唐津市内だけではなく、伊万里、武雄でも実施し、幼稚園から大人の団体までお声がけ頂き、地域交流を目的とした取り組みとして実施しています。

それから、石油を使わないことで環境負荷を低減し、環境先進工場（スマート工場）を目指した取り組みを実施し、地球環境へ貢献していきたいと思います。

最後に、シアター・エンヤへの応援メッセージをお願いします。

唐津に映画館が再び出来ることは嬉しかったです。今はテレビや配信などで手軽に映画が観られますが、映画館は特別な場所だと思います。誰かと一緒に同じ映画を観る、そんな共同体験ができる場所です。私も大切な人と一緒に行った思い出がありますし、その思い出は長く忘れないものです。シアター・エンヤが皆さんの良き思い出作りの場所になってほしいと願っています。