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2021.05.05(水)

イベント

演屋祭レポート!!

平素よりシアター・エンヤをご愛顧いただきありがとうございます。

2020年9月〜2021年2月にかけて、佐賀県がコロナ禍における文化芸術支援として展開していた「LiveS Beyond(ライブスビヨンド)」と共催で様々な映像作品を制作し、これらの自主映像作品をより多くの人に届けるべく、5月1日(土)、2日(日)にシアター・エンヤ初の映画祭<演屋祭>を開催いたしました!映画祭では、映像制作をした方々の想いを聞くティーチインや授賞式を実施しました。
そのトップバッターを飾ったのは「唐津湾Culture」。制作者の坂本諒平さん、撮影にご協力頂いた佐々木優實さん(ヨット、1日のみ)、藤川雄大さん(SUP)が登場。唐津湾で体験できるマリンスポーツ文化をドローンを使い臨場感たっぷりに仕上げました。

BGMも唐津での思い出に心を寄せてほしいという思いで、どこか懐かしさを感じられる音楽を使用。この撮影を通じて唐津の綺麗な海を守り、後世にも残し、そして海に抱かれた唐津の姿を発信していきたいという、坂本さんと撮影にご協力頂いた皆さんの想いの詰まった作品でした。

続いては、唐津ケーブルテレビジョンさん制作の「町民の心意気と輪島塗の職人技 鮮やかによみがえる鯱」から、水主町(かこまち)の曳山副取締の前川源明さんと、唐津ケーブルテレビジョンの田中直也さんです。

前川さんからは、修復工事にあたった職人達がコロナ禍ということもあり、石川県輪島から公共交通機関は使わずに車で移動された話や、先人達のご苦労や助けてくださった方々へのご恩を後世に伝えていかなければならない、それが出来ていたからこそ唐津くんちが続いていると思うとお話しくださいました。田中さんは、職人達や町の人たちの想い、そして修復を支えてくださった先人達の想いを表現したいとの気持ちで、本作を制作されました。

そして、唐津ケーブルテレビジョンさん制作のもう1本「唐津の風景と文化を世界に発信~唐津映画「花筐」-HANAGATAMI-」からシアター・エンヤ館長の甲斐田晴子さんと再び唐津ケーブルテレビジョンの田中直也さんが登場。

40年前に書かれた『花筐/HANAGATAMI』のシナリオが大林宣彦監督から甲斐田館長へ送られてきてお返事まで半年かかった話や撮影当時の想い、そして今回のドキュメンタリーを制作されたいきさつをお話しくださいました。そして、会場に来られていたボランティアスタッフの皆さんにも登場頂き、ご自身の想いや人生に影響を与えたお話などお聞きすることが出来、シアター・エンヤスタッフとしては非常に感慨深いものでした。

ここからは、シアター・エンヤがクリエイター支援として全国からショートムービーを公募した映像作品アワードの作品の上映とトークショーです。
まずは特別賞を受賞した「SAGA NOTE(サガノート)」からStudio:non-sense(スタジオナンセンス)の向野誠さん(編集担当)と中村たくみさん(アニメーション担当)です。

唐津東高校の生徒でもあるお2人は、体育の先生から今回のアワードへの応募を進められたことや音楽は物理の先生が担当されたこと、そして、期末考査前の大変な時期での制作だったことなど、高校生らしいお話で盛り上がりました。今回よりも満足のいく作品を作る!と意欲溢れるお2人でした。

同じく特別賞を受賞した「日々だんだん」から企画・脚本・監督・出演を務められた栗田真和さんです。

栗田さんは佐賀県伊万里市のご出身、本作品に主演された原雄次郎さんは佐賀県唐津市で、ご家族も観覧に来られました。後継者不足の問題を描いた本作。栗田さんは少しでも地元に貢献したい、そして希望を持つ作品にしたいという想いで制作されました。また、当日は原さんのお母様からサプライズの花束が!次回作のお話や今後の展望も話され、栗田さんの熱いメッセージで締めくくりました。

次は、映像作品アワード入賞5作品の上映とトークショーです。実は、5作品のうち3作品がオンラインでの参加という、シアター・エンヤ初の試みでした。
まずは「AYESHA(エイシャ)」というアニメーションを制作された小原正至さんと小林プロデューサーにオンラインで参加頂きました。

国内外の映画祭でも上映され受賞実績もある本作品を今回のアワードへ応募された小原さん。一人の女性宇宙飛行士の軌跡と奇跡、そこから連想させる「母なる大地」「母なる海」という希望に繋がるストーリーです。ナレーションは『風の谷のナウシカ』のナウシカや『ルパン三世 カリオストロの城』のクラリス王女の声を担当された島本須美さんという事実に会場から驚きの声が聞かれました。

同じく入賞の「卵守」から制作されたカツヲさんと主演の鈴木タカラさんにオンラインで参加頂きました。

コロナ禍の現状をユーモアたっぷりに表現した本作。主人公を演じた鈴木さんを起用した理由を「ネガティブさもうまく表現してくれそう」と話されたカツヲさん。コロナ禍で将来に不安を抱える主人公が、ちょっとしたきっかけで少しだけポジティブになる姿を魅力たっぷりに演じた鈴木さんとカツヲさんの絶妙なコンビネーションが光る作品でした。

同じく入賞の訊呂千尋さん制作のアニメーション「A Tasty Fish」。

イスラエル在住の訊呂さんは残念ながら不参加でしたが、訊呂さんの実体験を基に胎児の進化過程と人魚伝説を掛け、日本の幼少時代の象徴と言える紙を用い制作された本作は、過去を受け止めつつ未来に繋げていく希望を表現していました。

同じく入賞の「楽園の船」を制作された渡邉高彰さんにはオンラインで参加頂きました。

未知のウイルスによって瀕死の状態にある世界で生きる兄妹は、母が乗ったはずの「楽園の船」を探す旅に出るというストーリー。皮肉にもコロナ禍でなければ生まれなかった作品と話される渡邉さん。グリーンバックを駆使し、奥様やご自身の子ども達が出演し、最少人数で制作された本作。次回作は夏に劇場公開が決まっているとのことです。

入賞作品最後を飾る「いっしょにねたろか?」から、制作されたたくさんさんにお越し頂きました。

普段は俳優をされているというたくあんさん。コロナ禍で俳優業が思うように進まない中、たくあんさんの趣味である”絵を描くこと”を生かし、俳優仲間やスタッフに声をかけ本作を制作されました。アニメーションである本作は、iPhoneで声を撮り送ってもらったとのこと。タイトルは4歳の姪っ子の口癖からもらったエピソードに会場中ほっこり。こんな世の中だからこそ、ハッピーになれる明るい物語を作りたかったと話すたくあんさんでした。

そして最後のパートは、映像作品アワードの金銀銅賞作品の上映とトークショーです。まずは銅賞受賞の「レドモヨキト」を制作された江口陽向さんです。

江口さんは小城市在住の高校2年生。小学4年生から映像作品を制作している江口さんは、中学3年生の時に本作を撮影されました。本作は何かしら惹きつけられる魅力を感じ、そして江口さんの未来を応援したいという想いで銅賞に選ばせて頂きました。タイムリープ、時間の逆行をテーマにした本作は唐津市高島で撮影され、妹や友達が出演した本作。今までで一番気合の入った作品と力強く話されました。

続いては、銀賞受賞の「BEFORE / AFTER」を制作されたGAZEBOさんです。

メッセ―ジ性がありながらも軽快な内容で、一つの場所、一人の演者で構成されているにもかかわらず、観るものを引き付け楽しませるエンターテインメント性を評価し銀賞に選ばせて頂きました。押し入れを駆使したタイムスリップの着想は、GAZEBOさんが好きな藤子・F・不二雄さんのドラえもんを参考にしたとのこと。主演女優は1人4役を演じ、4人が同じ場面に登場するシーンも違和感なく表現されています。難しい技術は使用せず、誰にでも出来るよう初心に帰って制作された話すGAZEBOさん。コロナ禍を意識したストーリーですが、希望を感じる作品でした。

トリを飾るのは、金賞を受賞された「ヴィスコンティに会いたくて」の制作、主演の瑚海みどりさんです。

瑚海さんにとって初めての監督作品です。ストーリー、演技、技術など映画が持つ”総合芸術”が全て揃った作品ということで金賞に選ばせて頂きました。ご自身の2年前の事故がきっかけで今までの生き方を見つめ直された瑚海さん。それまでのお仕事(声優や俳優業)を一旦ストップし、好きなことをしたい!との思いから映画学校の監督コースへ進まれ本作品を制作されました。主人公の映画愛を衣装で表現したいう目からウロコのお話も。自分が満足する生き方をする、自分のための人生を送る全ての人たちへの応援歌として力強い作品でした。

そしていよいよ授賞式です。プレゼンターは今回の映像作品アワードを共同で開催して頂いた佐賀県文化スポーツ交流局文化課の久保緑参事と佐賀県フィルムコミッションの大河内啓子さんです。
▼佐賀県文化スポーツ交流局文化課の久保緑参事

▼銅賞・江口陽向さん

トロフィーを見つめながら「家宝します!」と喜びを語られる江口さん。
▼銀賞・GAZEBOさん

映画が出会いを結んでくれる、これからも映画祭を続けてほしいと語るGAZEBOさん。
▼金賞・瑚海みどりさん

亡くなったお父様の納棺の日に受賞の連絡が来たと語る瑚海さん。今回の映画祭でできた縁を大事にしたいと仰っていました。
▼受賞者、プレゼンターの集合写真

最後に、シアター・エンヤの甲斐田館長から、コロナ禍で<演屋祭>を開催したことへの想いが語られました。最後まで開催することを悩んだが、映画館は換気システムが優れており安全に過ごせる場所であることを知ってほしかったこと、映像作品アワードを実施したことで多くのクリエーターの方が表現の場を求めていらっしゃることを肌で感じたこと、そして、クリエーター支援で始めた企画でしたが、多くの素晴らしい作品に触れ、逆に私たちが勇気をもらったこと、それを皆さんに伝えたいとの想いで実施いたしました。
<演屋祭>へ参加してくださったゲストの皆さん、お客様、そして日頃からシアター・エンヤの活動を応援してくださっているボランティアスタッフの皆さん、大変な情勢の中一緒に盛り上げていただき誠にありがとうございました。

▼受賞者、プレゼンター、映画館スタッフ、ボランティアスタッフの集合写真

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