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2022.07.31(日)

イベント

『おれらの多度祭-小山地区・三年間の記録-』舞台挨拶レポート!!

平素よりシアター・エンヤをご愛顧いただき誠にありがとうございます。

7月30,31日(土日)に実施しました『おれらの多度祭-小山地区・三年間の記録-』の伊藤有紀(いとう・ゆうき)監督によるティーチイン付舞台挨拶のレポートです!

三重県多度町生まれの伊藤有紀監督。少年時代から映画好きだった伊藤監督は18歳で上京し、日本大学芸術学部映画学科在学中から映画を制作されていました。その後、映画・ドラマのスタッフを経てテレビのディレクターになり、旅番組のロケが縁で2009年に東京から福岡県八女市に移住。ドキュメンタリー制作会社との縁で、ドキュメンタリー映画『まちや紳士録』(’13)『人情噺の福団治』(’16)を制作され、続く “ドキュメンタリーにっぽん三部作” の三作目として『おれらの多度祭』(’20)が完成し、今回シアター・エンヤでの公開を迎えました。

以前から伝統に関わる題材に惹かれるものがあり、30代後半の時に、自分の生まれた町で約700年続いている多度祭のことを何も知らないなと思い、多度祭のドキュメンタリーを撮ろう、と決意されたとのことです。監督ご自身が多度町小山地区の生まれということもあり、参加している6地区の中で小山地区に密着されました。1年目は何も知らずに小さなカメラで遠目で撮影されていたとのことですが、2年目からは半纏さえ来ていればフリーパスであることが分かり、危ない場所での撮影も許可されたので臨場感を出せたとのこと。そのおかげで、多度祭の本質が体感できたような気がする、と話されました。祭に参加している多くの方は、昔から地域に根付いた商売をしている方が多いようです。ちなみに、監督ご自身は参加されたことは無いとのことです。

多度祭は多度町の6地区が参加していますが、地区ごとによってカラーが全然違い、ほかの地区が何をしているか知らないとのことです。今回、地元だから小山地区を撮りましたが、他の地区では撮れなかっただろうと話される伊藤監督。地縁が深く関わるようです。
本作に密着されている時に、これは映画に出来るな、と思われたのが撮影2年目で馬が坂を上がった時とのことで、その時に突き上げる歓喜の気持ちが湧いてきて、それを感じたときに、皆これがあるから多度祭が長く続いているのかなと思った、と話されました。その土地に根付いて、自分たちのやってきたことに誇りと生きがいを持って、ほかと比べることなく生きている人が一番偉いと思っています、と話される伊藤監督。祭は土地の人々の魂が開放される営みであり、今の常識では理解されづらい部分もあると思うが、それとは違う物差しをこの映画で提示し、考えるきっかけになればいいなと思う、と話されました。

お客様とのやり取りでは、「久しぶりにドキュメンタリー映画を観て胸が熱くなり涙が出た」「多度大社は知っていたが多度祭は知らなかったので、本作で知ることが出来て良かった」「唐津の人は、自分の町が一番と思っているので、多度祭も自分の地区が一番と思っているところに熱くなった」「お酒が入らないと祭でないし、お酒があることで神様が守ってくれる」との感想が挙がり盛り上がりました。また、「祭に参加している馬は以前は農耕馬だったと思うが、今はどんな馬が参加しているのか?」との質問に対しては、馬喰(ばくろう)という方から調達しており、参加している馬は競馬の引退馬が多い話や、馬との信頼関係を築くことの大切さの話も披露されました。「唐津くんちの場合は女性が裏方で参加しているが、多度祭は?」との質問には、地区によって違い、集会所で炊き出しに参加することもあれば、集会所にも一切立ち寄れない地区もある、とのことでした。小城市から参加されたドキュメンタリーを撮られている方も、監督の作品の手法にとても感動されていました。

最後に監督からシアター・エンヤへ、「本作を上映してくれているシアター・エンヤは本当に文化的だと思いますし、来てくださるお客様も文化的だと思いますので、これからも、唐津で映画文化を伝えてください」と嬉しいメッセージをいただきました。

おれらの多度祭-小山地区・三年間の記録-』は8月4日(木)まで上映しています。
伊藤有紀監督、そしてご来場のお客様、ご参加いただき誠にありがとうございました。

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