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2022.09.04(日)
『森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民』舞台挨拶レポート!!
平素よりシアター・エンヤをご愛顧いただき誠にありがとうございます。
9月2日(金)~4日(日)に実施しました『森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民』舞台挨拶のレポートです!
金子遊監督は9月3日・4日ご登壇、出演の言語学者・伊藤雄馬さんには全日程ご登壇いだだきました。
『森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民』は、タイ北部やラオス西部のゾミア(山岳地帯)で暮らす少数民族・ムラブリ族を世界で初めて撮影したドキュメンタリー映画。いわゆる商業映画と比較するとニッチな映画ではありますが、知的好奇心を刺激するテーマということもあり、3日間で88名ものお客様にご来場いただきました。
県外からのお客様も多く、言語学を専攻する学生や、北九州からお越しのお客様もいらっしゃいました。
金子遊監督は美術大学で映像人類学を教える傍らでドキュメンタリー映画を撮影しており、今作が5作目の劇場公開作品となります。
2017年 海外で人類学的なドキュメンタリーを撮りたいと思い、「黄色い葉の精霊」という書籍に書かれているムラブリ族に会いに行ったところ、住み込みでフィールドワークをしていた日本人の伊藤雄馬さんに偶然出会いました。
言語学者の伊藤雄馬さんは大学院でムラブリ語を研究。テレビ番組でムラブリ語を耳にして、「美しい言葉」だと思い、研究対象にすることを決めたそうです。ムラブリ語を習得するためにタイ語・北タイ語などを学び、なんと6か国語を操れるようになりました。
伊藤さんから「ムラブリ族はいくつかのグループに分かれていがみ合っているけれど、そのグループ同士を会わせてみたい」「ラオス側にもムラブリ族がいるらしいので探したい」という2つの話を聞き、金子監督は「それは映画にした方がいい」と提案し、今作『森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民』プロジェクトが動き出しました。
映画に登場するムラブリ語は文字がない言語です。そこで気になるのは、『どうやって文字のない言語を記録し、翻訳するのか』ということ。それについて伊藤さんは、「発音記号(国際音声記号)を用いて記録している」と話されました。またムラブリ語には「ありがとう」や「ごめんなさい」「こんにちは」のような言葉が無かったり、ムラブリ族のグループによってニュアンスが異なることも教えてくれました。
辞書がないムラブリ語を研究することについては、「他の言語のように、過去の膨大な資料を読まなくて済むという利点もあるが、責任も感じながら研究している」と話されました。
伊藤さんによるムラブリ語あいさつ、ムラブリ語の歌、ムラブリ語で1~10まで数えてみるミニワークショップと、毎日異なるレクリエーションがあり盛り上がりました。
(1から10まで数えられるのはムラブリ族にとってステータス、らしいです)
お客様との質疑応答では、「国からムラブリ族に補助や支援はあるのか」「ムラブリ族が住むところは、村からどれくらいかかるのか」「アマゾンや他の少数民族との違いはなにか」など、時間の許す限りひっきりなしに質問が挙がりました。
金子監督は、「大林宣彦監督にインタビューしたこともあるし、『花筐/HANAGATAMI』の舞台である唐津で上映できて、これも縁だなと感じる」と話されました。『花筐/HANAGATAMI』のロケ地散策もしてきたそうです。金子監督は最後に「次のプロジェクトはもう動いているし、ムラブリ第2弾を伊藤さん主演で撮りたい」と話し、会場が大きな拍手で包まれました。
伊藤さんは「ムラブリ族と過ごして、自分の生活スタイルが変わった。ものを持つ量が減って、着るものも変化して、ムラブリ族に影響されている」と話し、「皆さんも自分の中に小さな”ムラブリ”を住ませて、普段の生活を見直すきっかけになれば」とメッセージをいただきました。
『森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民』は9月4日をもちましてシアターエンヤでの上映は終了いたしました。
この後は高知・ミニシアター蛸蔵で上映予定です。
金子遊監督、伊藤雄馬さん、そしてご来場のお客様、ご参加いただき誠にありがとうございました。
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