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2024.07.28(日)
ドキュメンタリー映画『鯨のレストラン』舞台挨拶レポート!!
平素よりシアター・エンヤをご愛顧いただき誠にありがとうございます。
7月27日(土)に実施しましたドキュメンタリー映画『鯨のレストラン』舞台挨拶のレポートです!
当日は八木景子監督にご登壇いただきました。
▼作品紹介
『鯨のレストラン』
全盛期の日本での消費量と比べて現在では1%までに衰退したクジラ産業。そんな苦境な状況で「一乃谷」の大将、谷光男は、あえて「クジラ専門店」を運営している。かつては、日本の高度成長期時代、日本人のタンパク源のトップがクジラだった。牛や豚、鳥よりもクジラが多く食されていた。クジラは今では輸入に依存しているが、「輸出」までしていた。現在では「クジラ専門店」は、国内では手で数えるほど数件になってしまったが「一乃谷」は全国のクジラ店からも一目おかれ尊敬されている。大将の谷が東北から上京して東京・神田に「一乃谷」として、お店を構えたのは、宮城県・石巻市で東日本大震災が起こる1年前の2010年のことであった。石巻市は、国内では最大の捕鯨基地である。本作はクジラの料理としての魅力だけではなく、環境問題にも触れ、科学的な見地から現代におけるヴィーガンブームからの森林伐採を含め「タンパク源」のバランスの問題にも向き合う。自然資源のルールを決める国際会議と無縁の「クジラ専門店」の大将と、国際会議の主要人物の証言を記録したものである。
作品WEBサイト:https://www.whalerestaurant.jp/
鯨と縁のある唐津の映画館での上映をオファーされ、当館での上映が決まった『鯨のレストラン』。八木監督は、映画会社パラマウントピクチャーズの日本支社に勤務されていましたが、日本支社が撤退するタイミングの2011年に東日本大震災のボランティアのために東北を訪れました。当時は石巻が捕鯨基地ということをご存じなく、鯨について特に注目しているわけでもなく、根強い復興産業があればいいな、と思っていたそうです。その後、2014年に捕鯨について日本がオーストラリアから訴えられたことをきっかけに捕鯨問題を知り、『ビハインド・ザ・コーヴ~捕鯨問題の謎に迫る~』(以下、『ビハインド・ザ・コーヴ』)を製作されました。
八木監督は『ビハインド・ザ・コーヴ』を製作する経緯について「(鯨に携わっていた)先人たちが私に乗り移ってきて突き動かされたのかな、と思うくらい様々な偶然が重なった。『ビハインド・ザ・コーヴ』を製作したことでが東北の復興に貢献できればと思った。」と語られました。日本のイルカ漁を批判的に描き、アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞した『ザ・コーヴ』への反論として製作された『ビハインド・ザ・コーヴ』は、八木監督の初監督作品であり、反捕鯨について真正面から反論した映画として世界中から注目を集め、第39回モントリオール世界映画祭ドキュメンタリー部門に正式出品されました。更に、Netflixでは日本のドキュメンタリー映画として初めて世界へ配信されました。
※現在『ビハインド・ザ・コーヴ~捕鯨問題の謎に迫る~』はNetflixでの配信は終了し、Amazon Prime他で視聴できます。
前作から8年ぶりに製作された『鯨のレストラン』。本作を作るきっかけについて、「日本の捕鯨調査のデータを発表する場が無いことに気付き、且つ鯨の本来の魅力を伝えるために、食としての鯨をいかに楽しむか、そして科学としての鯨をいかに伝えるか、との想いだった」と語られた八木監督。そして、「前作『ビハインド・ザ・コーヴ』があったから、今回撮影できた部分もあり、本作を(『ビハインド・ザ・コーヴ』よりも)先に作ることは出来なかった」と振り返られました。
舞台挨拶に合わせ少し前から唐津入りされていた八木監督は、かつて捕鯨の町として栄えた唐津市呼子にある「鯨組主中尾家屋敷(くじらくみぬしなかおけやしき)」や、同じく捕鯨で栄えた唐津市小川島に行かれました。呼子のイカの漁獲量の減少と捕鯨問題の関係や、捕鯨問題が及ぼす生態系への影響もお話しされました。
鯨はスタミナに効く「バレニン」という栄養素があり、非常に栄養価の高い食材。人間にも地球にも環境にも優しく、日本経済、そして唐津の経済を支えるためにも鯨が豊かさに繋がると力説されました。
他にも、鯨の油が月面に着陸したアポロ11号に使われていた、というトリビアも飛び出しました。
お客様からは「鯨を食べたくなった」「(劇中の)レストランに行きたくなった」といった感想があり、唐津市外から移住されたお客様からは「唐津に来て鯨が身近なものになった」といった驚きの声や、「(劇中の)レストランは今後どうなるんだろう」という心配の声も聞かれました。
最後に、八木監督から会場のお客様へ「先人たちがつけた”鯨”という漢字には、子どもが大きく育ちますように、国が繁栄しますように、商売が繁盛しますように、という願いがこめられています。その意味を知り、本作を観て鯨の科学的な根拠、事実を知ったことを周りの皆さんへ伝えていただきたいです。鯨によって日本の皆さんが元気になることを願っています。」と熱いメッセージが贈られました。
問題の本質に触れながら、鯨の食にフォーカスすることで、観客が追体験でき自分事として感じられる『鯨のレストラン』は、8月1日(木)まで上映しています。
八木監督、ご来場のお客様、ご参加いただき誠にありがとうございました。
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