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2023.12.25(月)

イベント

『たまつきの夢』舞台挨拶レポート!!

平素よりシアター・エンヤをご愛顧いただき誠にありがとうございます。

12月23日(土)、24日(日)に実施しました『たまつきの夢』舞台挨拶のレポートです!田口敬太監督・主演の辻千恵さんにご登壇いただきました。
辻千恵さんは唐津市相知町出身。2021年『男の優しさは全部下心なんですって』オンライン舞台挨拶に続き、シアターエンヤに凱旋舞台挨拶となりました。

▼『たまつきの夢』作品紹介
第二次大戦前夜の日本。舞台は昭和初期の撞球(ビリヤード)場。主人公のきし乃は妾として軍需工場経営者で地主の熊野の邸宅で暮らしている。戦地からの手紙で弟の戦死を知り、恋人と心中を図ろうと山中に足を踏み入れたきし乃は、浅次郎という男に出会う。浅次郎は当時流行していた結核を患っているため兵役免除となり人目につかないよう一人撞球場で暮らしていた。当時、撞球(ビリヤード)は長引く戦争で風紀を乱すという理由から警察の取締の対象となっていた。それでも浅次郎には夢があった。ビリヤードの世界チャンピオンになること。浅次郎の夢の話を聞いたきし乃は自分の夢を浅次郎に伝えようと、一緒に熊野邸に忍び込むが…。

『たまつきの夢』は2019年撮影。2019年末に音楽と映画の祭典「MOOSIC LAB」にて上映されたショートフィルム版と、2023年公開の長編版があり、今回は長編を上映しています。

今作を制作するきっかけを田口監督にお聞きました。
「自身の祖父が生きた記憶を映画で表現したかった。祖父の青年時代にはビリヤード(当時の遊び方は『四ツ球』)が流行っていた。ダンスや映画など、戦時下で一時的に失われた文化のひとつとして、ビリヤードを題材にした」と振り返りました。
また大戦前夜を描くことについて田口監督は、「戦時中の苦しい生活や、戦争の是非に焦点を合わせないようにした。この映画では、1939年の日常の生活・普遍的な感情を描きたかった」と語りました。

辻千恵さんはオーディションを経て主演・きし乃役を演じました。オーディション当時を振り返って「事務所に入りたてで、お芝居の勉強もはじめたばかりで、ある意味で”怖いもの知らず”なところが、きし乃役に合っていたのかもしれない」と話されました。
「撮影前は、『戦争ものだ』『時代物だ』と構えて考えていたが、撮影後には、『人を好きになる』とか『自由になりたい』とか『自分の生きる道を見つけたい』とか、現代を生きる人と気持ちは何も変わらないんだと思った。きし乃がそう気づかせてくれた。」と振り返りました。

田口監督に、唐津の印象をお聞きしました。
「故郷の岡山県津山市と雰囲気が似ている。津山にもかつて城があって、城下町として栄えていた。長い間まちに映画館がなかったところも似ている。唐津も20年以上映画館がなかったそうだが、こうして常設の映画館が出来たことは大変素晴らしい」と話されました。

また、田口監督は大学で物理学科を専攻されて、そこから映画監督になられました。その転身のきっかけについてお聞きしました。
「大学生までは映画に興味がなく、勉強に興味があった。ところがチャップリンを観て言葉ではない、動き・映像だけで人間の感情を表せられることに感動した。物理の”原子”や”光”や”影”の世界とは違う面白さに興味を持った」とお話しいただきました。

辻さんは俳優としてドラマや映画でご活躍されています。俳優になられたきっかけをお伺いしました。
「自分が俳優になるなんて思っていなかった。大学生のころモデルとして活動していたが、学生生活の思い出作りに、と考えていた。就職活動もしていたが、内定先の人事の方に『今本当にやりたいのはどっち?』と聞かれ、今しかできないモデル・俳優の仕事がしたいと気づき、こちらの道を選んだ」と振り返りました。

お客様との質疑応答では、印象的な逆光のシーンの質問が挙がりました。田口監督は「日が沈むタイミングで、自然光だけで撮った。まさかここまで白くなるとは思わなかった。さすがに白すぎるか、ともう一回撮ったけど、編集でこちらを選んだ」と解説しました。

別の方から「劇中の建物や町並み、部屋の雰囲気がとてもよいが、セットを組んだのか」という質問が挙がりました。田口監督は「群馬県下仁田町に現存する、築100年以上の建物で撮影した。1階はかつて営業していた、本物のビリヤード場。二階で部屋のシーンを撮影した」と振り返りました。

最後にお二人から今後の展望・メッセージをいただきました。
田口監督からは「2019年撮影後にコロナ禍になったが、この映画の内容は普遍的なテーマなので、公開を焦らずじっくりと編集をしてきました。7月の群馬での公開後に全国へ広がって、辻さんの地元・唐津でも上映できて良かったです。この後も各地で上映されるよう頑張ります。そして自分の新作映画が撮れるよう動いていますので、またここで上映されたらいいなと思います。」とお話しいただきました。
辻さんは「地元の映画館で、自分が出演する大事な作品を上映できて、たくさんの方に観ていただいて、こんなに幸せなことはない。監督にも感謝です。オーディションから数えると4,5年。こんなに長い旅ができる作品にはなかなか出会えない。これからもまた旅はつづくし、自分も映画だけでなく舞台やドラマでも頑張っていきたいなと思います。」と話されました。

舞台挨拶後、パンフレットご購入の方にサインをいただきました。

『たまつきの夢』は12/28(木)までの上映です。
田口敬太監督・辻千恵さん、そしてご来場のお客様、ご参加いただき誠にありがとうございました。


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