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2024.03.03(日)

イベント

『[窓]MADO』舞台挨拶レポート!!

平素よりシアター・エンヤをご愛顧いただき誠にありがとうございます。

3月2日(土)・3日(日)に実施しました『[窓]MADO』舞台挨拶のレポートです!
麻王(MAO)監督にご登壇いただきました。

▼作品紹介『[窓]MADO』
郊外のすずめ野団地に静かに暮らす、江井家。江井家は、英夫、英⼦、そして1⼈娘の英美の3⼈家族である。英夫は、娘の英美が2016年2⽉から、階下に住む家族”備井”の部屋からくるタバコの煙害に苦しめられていることを問題と思う。備井家の家族構成は、美井夫、美井⼦、そして⻑⼥の美井美。江井家と同じく3⼈家族である。英美は、歌を歌うことが好きでよくベランダで歌っているのだが、タバコの煙害によってベランダに出ることが出来なくなり、歌を歌えなくなってしまう。英美の体調は⽇に⽇に悪化していく⼀⽅で、英夫は、トラブルを克明に記録するために⽇記をつけ始め、なんとかこの問題に対して対処しようと奮闘する。そんな中、英夫は娘が「化学物質過敏症」の疑いがあるということを知り、英美が「化学物質過敏症」を発症したとして、遂に医師から診断書を発⾏して貰う。これを機に、A 家とB 家の裁判闘争が本格的に始まるのであった。

『[窓]MADO』は実際に起きた「横浜・副流煙裁判」をもとに制作されました。そして麻王監督は実際に訴えられた家族のご子息で、今回が初の長編映画監督作品です。映画を制作された経緯についてお聞きしました。
「【横浜・副流煙裁判】という、裁判の結果次第では自宅で喫煙することすら禁止になりかねないような、大きなトピックになる訴えを起こされた。控訴審の陳述書に原告の日記が提出されており、その日記の内容に涙が出るくらい心を打たれた。原告側の思いを汲み取り、自分なりにこの事を見つめたいと思い、企画した」とお話しいただきました。
また、映画の内容については「身内の出来事だけど、第三者の目線で撮ることを心がけていた。しかしそれだけだと冷たく突き放した印象になってしまった。これは違う・主観的な見方も必要だと思い、原告・被告両家の家族愛や希望・祈りを入れるよう、一部作り直して完成させた」と振り返りました。

本作の主人公・原告の父英夫役を演じたのは、ベテラン俳優の⻄村まさ彦さん。キャスティングについてお聞きしました。
「映画『黒い家』(=1999年・森田芳光監督作品)を観て西村さんに出演していただきたいと思った。それまで面識やコネクションがなかったが、想いを書いた手紙と台本を送ったところ、快諾のお返事をいただいた」と振り返りました。監督が西村さんに出演を決めた理由を聞いたところ、監督の手紙の熱い思いに心を動かされて、台本を読む前に出演を決めたとのことでした。

映画公開後のご家族の反応については「母からは“この映画が救いになった”と言ってもらった。父は辛口の批評をし、妹は全く映画に興味がない」と話されました。ちなみに映画の設定と同様にお父様は音楽を制作されており、エンディング曲の『窓』の作曲もされています。

映画内で描かれる『化学物質過敏症』について監督にお聞きしました。
「映画を作っていた3年の間で随分状況が変わった。3年前は“治療法不明の為、障害年金を受け取り、それでサバイブしましょう”という考えがあった。それが現在は、“大きく4つの原因があり、原因が分かれば治療方法がある”とされている。この映画で全国を回りながら、『化学物質過敏症』の情報がアップデートされていっている。『化学物質過敏症』に限らず、物事は常にアップデートされていく。認識は今の過程に過ぎず、決めつけでいくのは怖いな、と改めて考えさせられた」と話されました。

お客様との質疑応答では「身内ということもあり、被告側(監督の家族)をわざと悪く見えるように描いたのか」と質問が挙がりました。
監督は「僕個人としては、“なんでこういうことになってしまったのか”をしっかり描きたかった。化学物質過敏症についても学び、相手の家族がどういう思いだったのかを見つめたかった。自分の家族を応援する、それだけの映画にはしないようにした」と答えました。
また、「西村さんから、“この映画は【エンパシー】だね”という言葉をいただいた。エンパシーとは、自分とは異なる価値観や考え方を持つ他人が、何を考えどう感じているのかを想像すること。まさに僕がこの映画で目指していたことを西村さんが汲み取ってくれた」と振り返りました。

「原告の家族には、支援施設をさがす・地方に移住するなど、訴訟ではない解決が出来ればよかったと思う」との感想が挙がると、監督は「映画では原告側は60代の家族のように描いているが、実際の裁判の家族はもっと年齢が上で、ここを終の棲家と考えていた。そこが映画内でうまく描けなかったことは反省点です。」と話されました。

「原告側の訴えが届かなかった理由はなんですか?」という質問に、監督は「世論も禁煙の流れになっていたので、そちら側に傾くと思っていたが、医師が診断書を出すときに不備があったのではないかと思う」と話されました。

最後に麻王(MAO)監督は、「誰にでも起こりうるし、どちらが正しい・間違っているもない。見つめていけばどちらの意見も分かる、そんな映画をつくりました。この映画を観た方に今後何かが起こった時に、俯瞰して物事を捉え、色んな考え方が出来るヒントになればと思います」とメッセージを送りました。

舞台挨拶後、パンフレット・Tシャツご購入の方にサインをいただきました。

映画『[窓]MADO』はシアターエンヤでは3/7(木)までの上映。その後は、神戸・長野ほか全国で上映が続いていきます。

麻王(MAO)監督、そしてご来場のお客様、ご参加いただき誠にありがとうございました。


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